中国の2025年貿易黒字が1.2兆ドルの過去最高を更新、トランプ関税下で輸出先多角化、EVなど「新三様」が躍進

2026年1月14日、中国海関総署(税関)が発表した2025年通年の貿易統計により、中国の貿易黒字が前人未到の1兆ドル(約1.18兆〜1.2兆ドル規模)を突破し、過去最高を更新したことが明らかになった。第2次トランプ政権の誕生に伴う米中貿易摩擦の激化や、広範な関税措置による圧力が強まる中、中国経済は輸出先の多角化と戦略的産業の強化によって、米国の包囲網を事実上無効化する形で成長を維持した。

輸出先の多角化と「グローバルサウス」へのシフト

2025年のデータで最も顕著なのは、中国の輸出構造の劇的な変化である。トランプ政権による高関税の影響で、対米輸出は前年比で20%という大幅な減少を記録した。しかし、この落ち込みを補って余りある成長を見せたのが、東南アジア(ASEAN)、アフリカ、ラテンアメリカといった、いわゆる「グローバルサウス」諸国である。

統計によると、アフリカ向け輸出は26%増、ASEAN向けは13%増と二桁成長を記録。さらに「一帯一路」沿線諸国との貿易額は全体の51.9%を占めるに至り、中国の貿易構造はもはや欧米市場に依存しきったものではなくなっている。この市場の多角化は、米国の経済的圧力を分散させ、中国製造業の稼働率を維持するための基幹戦略として機能した。

「新三様」と自動車産業の世界的覇権

中国の輸出を支えた物理的要因は、技術集約型製品へのシフトである。特に、中国政府が「新三様」と呼ぶ「電動載人汽車(電気自動車:EV)」、「リチウム電池」、「太陽電池」のグリーン製品は、欧米の制裁にも関わらず世界市場で圧倒的なシェアを確保した。

中国自動車工業協会の発表によれば、2025年の自動車輸出台数は前年比21.1%増の709.8万台に達し、日本を抜いて世界最大の自動車輸出国としての地位を3年連続で確実にした。特筆すべきは、企業が関税回避のために東南アジアやメキシコでの現地生産(海外工場)を加速させたことである。これにより、中国資本のメーカーは「現地製」として低い関税で欧米市場へ食い込む戦略を強化し、サプライチェーンの強靭さを証明した。

経済不均衡と戦略資源レアアースの動向

一方で、この記録的な貿易黒字は中国経済の内抱する構造的課題をも浮き彫りにしている。国際通貨基金(IMF)などが指摘するように、輸出への過度な依存は国内消費(内需)の低迷の裏返しでもある。不動産不況が長引く中で、中国政府は国内の過剰生産能力を海外市場へ放出することで経済成長率(約5%目標)を維持しているが、これが各国との新たな貿易摩擦を生む火種となっている。

また、戦略的資源であるレアアースの輸出量は2025年に6万2,585トンに達し、2014年以来の高水準を記録した。一時は輸出管理の強化により減少したものの、6月以降は急速に回復。ハイテク製品や軍事産業に欠かせない重要資源の供給網を握ることで、対米交渉におけるカードを維持する姿勢が鮮明となった。

今後の焦点は、人民元安による価格競争力の維持と、李強首相が提唱する「進出口の均衡ある発展」が両立できるかにある。トランプ政権がさらなる関税の引き上げを示唆する中、中国は輸出抑制と内需刺激という難しい舵取りを迫られることになる。


[出典]

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