太子集団の陳志会長をカンボジアから中国へ送還、世界規模の詐欺・マネロン帝国崩壊の舞台裏

太子集団・陳志会長の逮捕とカンボジア国籍剥奪の背景

カンボジア内政部は2026年1月7日、多国籍犯罪組織として国際的な批判を浴びていた「太子集団(プリンス・グループ)」の創設者、陳志(チェン・ジー)会長ら中国籍の男3名を逮捕し、中国当局へ引き渡したことを正式に発表した。今回の送還劇で特筆すべきは、陳志が2025年12月にカンボジア国籍法に基づき、法令によって正式に国籍を剥奪されていた点である。

陳志は1987年に中国福建省で生まれ、2014年にカンボジア国籍を取得後、2015年から太子集団を率いて急成長を遂げた。同集団は不動産から金融、エンターテインメントまで多角的な事業を展開し、カンボジア政界の有力者とも親密な関係を築いていたとされるが、その裏では組織的な特殊詐欺と多国籍マネーロンダリングのネットワークが構築されていた。カンボジア当局が国籍剥奪という強硬策に踏み切った背景には、国際的な法執行機関、特に米中両国からの強い圧力があったことは明白であり、長年「詐欺の温床」と批判されてきた東南アジアの浄化をアピールする政治的意図も透けて見える。

世界を震撼させた詐欺帝国「豚の屠殺」と資産凍結の規模

米司法省は2025年10月、陳志を電信詐欺とマネーロンダリングの疑いで起訴し、世界に指名手配していた。太子集団はカンボジア国内に少なくとも10箇所の「詐欺パーク」を建設し、高額報酬を餌に誘い込んだ外国人労働者を監禁。彼らをSNS上の偽の恋人や投資アドバイザーに仕立て上げ、被害者を信頼させてから資金を奪う「豚の屠殺(殺猪盤)」と呼ばれる悪質な投資詐欺を組織的に行っていた。

この犯罪収益の規模は計り知れず、現在世界各地で大規模な資産差し押さえが進行している。

  • 米国: 約150億ドル(約1170億香港ドル)相当のビットコインを没収。
  • 香港: 陳志が支配する上場企業2社(致浩達、坤集団)を含む10社を通じたマネーロンダリングが発覚し、香港警察は約27.5億香港ドルの資産を凍結した。
  • 台湾: 豪華マンション11箇所、ロールス・ロイスやフェラーリなどの高級車26台を含む総額45億台湾ドル超の資産を差し押さえ、25名の容疑者を拘束した。
  • シンガポール: 不動産6箇所や証券口座、高級酒など1.5億シンガポールドル以上の資産に処分禁止命令が下された。

犯罪組織への国際包囲網と今後の影響

今回の陳志の送還は、単なる一企業のトップの失脚にとどまらず、東南アジアを拠点とする中国系犯罪シンジケートに対する国際的な包囲網の完成を意味している。米国財務省は太子集団を「多国籍犯罪組織」に指定し、傘下の146におよぶ実体と個人に全面的な金融制裁を科した。

これまでミャンマー北部コーカンの白家犯罪集団や、同じくミャンマーの明家一族など、東南アジア各地の詐欺グループが中国当局の手によって解体されてきたが、カンボジアを拠点に150億ドルもの暗号資産を動かしていた太子集団の崩壊は最大規模の打撃となる。陳志が中国大陸へ送還されたことで、今後は同集団が利用していた多国籍マネーロンダリングの経路や、関与した政治家・金融機関との癒着構造が詳しく解明されることが期待される。

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