中国が日本のスポーツ・文化を通じた「軍国主義浸透」に警戒 三笘薫や張本智和を名指し批判し対抗策を提言

2026年1月、日中関係の緊張が文化・スポーツ分野において新たな局面を迎えている。中国共産党中央党校の機関紙「学習時報」は、1月2日付の紙面で日本の著名なアスリートやアーティストを実名で挙げ、日本軍国主義の要素を「文化活動に紛れ込ませている」と厳しく指弾した。この論評は台湾の中央通信社(CNA)などが報じ、中華圏のSNSでも大きな波紋を広げている。

スポーツ・芸能界のアスリートらを異例の名指し批判

「学習時報」に掲載された「文化・スポーツ分野における日本軍国主義の浸透に警戒せよ」と題した文章では、イングランド・プレミアリーグで活躍するサッカー日本代表の三笘薫選手や、卓球の張本智和選手が具体例として挙げられた。

三笘選手に関しては、昨年11月に所属クラブのブライトンがSNSに投稿した画像が問題視されている。三笘選手が旧日本軍の小野田寛郎少尉をモチーフにしたカードを笑顔で持つ姿が、中国側からは「戦犯に関連するカードとの合影」と映った。また、張本選手については、2024年パリ五輪前に東郷神社を参拝したことが、侵略戦争の戦犯を祀る場所への参拝であるとして批判の対象となった。

さらに、批判の矛先は芸能界やアニメ界にも及んでいる。アイドルグループ「Snow Man」のプロモーションビデオに戦犯の名が刻まれた日本刀が登場したことや、ゲーム・アニメ作品における「旭日旗」や「731部隊」に関連する符号の露出も、意図的な歴史修正主義の現れであると断じられた。こうした動きは、単なる個別の不注意ではなく、日本の「極右勢力」が文化・スポーツの持つ親しみやすさを利用し、組織的に世界の、とりわけ青少年の歴史認識を操作しようとする高度な戦略であるというのが中国側の分析だ。

蘇州のアニメイベントで「ヒロアカ」を巡る強制連行騒動

こうした政治的言説と呼応するように、民間レベルでも摩擦が激化している。1月1日には、江蘇省蘇州市で開催されたアニメイベント「Good Jump ACG新春年賀会」において、人気作品「僕のヒーローアカデミア」のコスプレをしていた男性が、来場者や警備員によって強制的に会場から連行される騒動が発生した。

同作は、2020年に登場人物の名前が旧日本軍731部隊による人体実験を想起させるとして、中国国内で激しいボイコット運動が起きた経緯がある。今回の現場では、男性がウィッグを脱がされた後に共産党軍(紅軍)の帽子を被って敬礼するなど挑発的な行動を取ったこともあり、周囲の怒りを買った。現在、中国のアニメイベントでは特定のアニメ作品が排斥の対象となっており、当局の姿勢が民衆の行動に強く反映されている格好だ。

拡大する「ソフトパワー」への監視と国際社会への働きかけ

「学習時報」の論評は、単なる国内向けの批判に留まらず、国際社会や関連組織に対しても具体的な「制約」を求めている点が極めて異例だ。記事では、国際的なスポーツ組織や多国籍企業に対し、軍国主義的象徴を公然と使用する個人・団体への警告や資格停止、協力終了といった分級的な拘束措置を講じるよう提言している。

これは、中国が日本の「ソフトパワー」を通じた影響力を、国家安全保障や歴史認識における実質的な脅威と見なしていることを示唆している。特に、青少年が日常的に接するアイドルやゲーム、アニメといった分野が「虚構の歴史を植え付けるための土壌」にされているとの強い危機感を示した。

今後、中国側は外交や法律のルートを通じ、日本のこうした表現を助長しているとされる機関やスポンサーに対しても圧力を強めていく姿勢を鮮明にしている。具体的には、不適切な行為の記録を公開し、国際的な監視ネットワークを構築することで、日本側が歴史問題を「文化」として消費することへの政治的コストを大幅に引き上げることを目的としている。日中間の文化・スポーツ交流が、かつてないほど政治的な監視下に置かれる時代が到来しており、関係各所にはこれまで以上に慎重なリスクマネジメントが求められるだろう。

[出典]

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