
オランダ裁判所、ネクスペリア問題で14日に公開審問
オランダ裁判所の報道官は2026年1月5日、半導体大手ネクスペリア(Nexperia)の不適切な経営があった疑いを巡り、正式な調査の是非を検討する公開審問を14日に開催すると発表した。一連の支配権争いが公開の場で審理されるのは今回が初めてとなる。同社の混乱は車載チップの供給網を寸断し、一部の自動車メーカーが生産停止に追い込まれるなど、欧州の産業界に深刻な打撃を与えている。台湾の聯合報やロイター通信などが報じた。
事態の背景には、先端技術の保護を巡る中国とオランダの対立がある。オランダ政府は2025年9月、親会社の中国・聞泰科技(ウィングテック)による機密情報の中国移転を阻止するため、同社の接収に踏み切った。これに対し中国側は、中国国内の工場で製造・パッケージングされる半導体の輸出禁止という強力な報復措置で応じ、事態は複雑化した。アムステルダム企業裁判所は同年10月、中国籍の張学政最高経営責任者(CEO)を職務停止とし、株式の99%を地元弁護士の管理下に置く暫定裁定を言い渡している。
混迷を極める「分断状態」とサプライチェーンの断裂
2025年11月、オランダ政府は供給網の安定化を名目に接収停止を発表したが、事態の収束には至っていない。張氏のCEO職は回復せず、株式の託管も継続されたままである。現在、ネクスペリアは事実上の「分断状態」に陥っている。オランダ本社は中国工場へのウェハー供給を停止したまま、ベトナムやマレーシアなど他国で代替のパッケージング拠点を模索。一方で中国側も、国内で独自のウェハー供給元を確保しようと動いており、一体的な経営体制は損なわれている。
このような経営陣の不在と供給網の寸断は、ネクスペリア混乱が欧州自動車産業を直撃する結果となった。同社は世界的な車載半導体シェアを誇るだけに、その供給停止はフォルクスワーゲンやBMWといった欧州大手メーカーの生産ラインに直撃し、産業界からは早期解決を求める声が強まっている。14日の審問では、株式を管理する弁護士らが「経営実態に疑義がある」として、正式な調査の開始と現在の管理体制の維持を強く求める方針だ。
経済安全保障と地政学リスクの最前線
本件は、単なる一企業の支配権争いに留まらず、米中対立に端を発した経済安全保障の象徴的な事例となっている。オランダはASMLを筆頭に半導体製造装置の重要拠点を抱えており、対中輸出規制を強める米国の意向と、主要な市場である中国との間で難しい舵取りを迫られてきた。オランダ政府がネクスペリアへの介入を停止した背景には、過度な対立が自国産業を疲弊させることへの懸念があったとされる。
しかし、現場の対立は解決の糸口が見えない。直近ではオランダ経済相が訪中を中止するなど、外交レベルでの緊張も再び高まっている。14日の審問後に裁判所がどのような裁定を下すかは、欧州における半導体供給の安定性や、今後の中国資本に対する外資規制のあり方に大きな影響を与えるだろう。投資家や自動車産業の関係者は、裁判所が「不適切な経営」の有無をどう定義し、誰に支配権を委ねるのか、その判断を注視している。
[出典]
- 擬調查中資安世半導體 荷蘭下周三公開聆訊(東網)
- 荷蘭法院:1月14日聽審安世半導體控制權案(聯合新聞網)
- Public hearing in Nexperia dispute set for January 14, sources say (Reuters)
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