
黄河をまたぐ省道で多重衝突 バスが転落の危機
2026年1月2日午前8時55分ごろ、河南省開封市祥符区を通る省道S220線の「黄河公路大橋」北側区間にて、凄惨な交通事故が発生した。当時は突発的な濃霧により視界が数メートル先も見えないほど悪化しており、計3件の衝突事故が相次いで発生した。
その中でも最大の被害となったのが、大型バス1台を含む計6台が絡む連環衝突事故である。長垣から商丘に向かっていたこの長距離バスは、前方の追突車両を回避しようとした運転手がとっさに左へハンドルを切った際、東側のガードレールを突き破った。バスは車体前部が橋の外へ突き出し、黄河への転落一歩手前で宙吊り状態となる極めて危険な状況に陥った。
当時、車内には運転手を含め6人が乗車していたが、奇跡的に全員が無傷で救出された。事故車両は正午までにレッカー移動され、交通は回復したが、現場の映像は中国のSNSを通じて拡散され、改めて冬の交通安全に対する警鐘を鳴らす形となった。
冬季の死神「団霧」とインフラ管理の課題
今回の事故の直接的な原因は、中国で「団霧(だんむ)」と呼ばれる局所的な超濃霧である。これは通常の霧よりも密度が高く、突発的に視界をゼロにする特性があり、中国の高速道路や幹線道路における多重衝突事故の主因となっている。特に今回の現場である黄河公路大橋のような広大な河川をまたぐ橋梁では、水蒸気の供給が絶え間なく行われるため、団霧が発生しやすい環境にある。
中国当局および気象台は当日、濃霧黄色警報を発令していたが、団霧はその予測の難しさから、運転手が異変に気づいた時には手遅れになっているケースが多い。こうした背景を受け、中国の道路政策では近年、スマート交通システムの導入が進められている。視界不良時に自動で点灯する視線誘導灯や、車両感知センサーを用いた後続車への警告システムなどが主要路線に配備されつつあるが、省道(S線)のような一般道においては、依然としてインフラ整備の格差が課題として残っている。
また、中国の長距離バス運行をめぐる安全規制についても、今回の事故は教訓を突きつけている。幸いにも今回は死傷者が出なかったが、過去には道路橋でダンプと乗用車玉突き=5人死亡―四川のような凄惨な事故が絶えない。
相次ぐバス転落事故の教訓とリスク管理
中国において、バスの橋梁からの転落は、一度発生すれば甚大な人的被害を招く高リスク事案である。過去には、路線バスが橋から長江転落 乗客約10人、2人の遺体 救助船70隻出動 重慶といった悲劇が発生しており、そのたびにガードレールの強度不足や運転手の安全教育が議論の対象となってきた。
今回の開封市の事例では、バスの車体重量を支えきったガードレールの強度が最悪の事態を免れた一因とも言える。しかし、路線バスが橋から川に転落 2人死亡9人重軽傷 海南のように、インフラ側の不備や衝突の角度によっては容易に転落を招く。
冬季の中国北部は、石炭暖房による大気汚染物質と湿気が混じり合い、さらに濃い霧が発生しやすい。ドライバーには「車は路肩へ、人は避難、直ちに警察へ(車靠辺、人撤離、即報警)」という基本原則の徹底が求められている。今回の黄河公路大橋の事故は、一歩間違えれば国家的な悲劇となっていたはずであり、気象予測技術の向上とドライバーの危機意識の欠如を埋める政策的介入が急務となっている。
[出典]
- 河南大霧多車相撞 巴士衝出護欄車頭懸空險墮河 官方指無傷亡 (香港01)
- 公路多宗車禍 大巴驚險懸空橋外 (東網)
- 开封黄河公路大桥大雾天突发多车连环追尾,大巴车紧急避险冲上护栏车头悬空险坠河 (極目新聞)
[関連情報]
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