
中国による銀の「戦略的資源」格上げと輸出規制の開始
2026年1月1日、中国政府は銀(シルバー)の輸出規制を正式に施行した。今回の措置により、銀はこれまでの一般商品からレアアース(希土類)と同等の「戦略的資源」へと格上げされ、厳格な政府許可制が導入された。中国は2025年1月から11月までに4600トン以上の銀を輸出しており、輸入量はわずか220トンにとどまる世界最大の生産国の一つである。
中国商務部は2026年および2027年に輸出を許可する企業44社のリストを公表したが、この新規制には銀のほか、国防や先端技術に不可欠なタングステンやアンチモンの規制も含まれている。世界シェアの約60〜70%を占める中国産の精製銀が規制対象となったことで、世界のハイテク産業サプライチェーンには激震が走っている。
太陽光発電とAI産業を直撃する供給リスク
銀の需要急増の背景には、脱炭素に向けたクリーンエネルギーへの転換と、AIインフラの急速な拡大がある。太陽光パネル1枚には約20グラム、電気自動車(EV)1台には25〜50グラムの銀が使用される。さらに、OpenAIのサム・アルトマンCEOが指摘するように、AIデータセンターの運用には膨大な電力が必要であり、その電力インフラ構築にも銀は欠かせない材料となっている。
銀の特性として、世界の生産量の70〜80%が銅や金などの採掘に伴う「副産物」であることが挙げられる。そのため、銀価格が高騰しても即座に増産することは困難であり、新たな鉱山を開発しても生産開始までには十数年の歳月を要する。テスラのイーロン・マスクCEOはSNS上で「多くの工業プロセスにおいて銀は必要不可欠であり、今回の規制は良くない」と懸念を表明した。
「電子は新しい石油」:資源争奪戦の激化と経済への警鐘
銀価格は2025年を通じて上昇を続け、12月末までに140%を超える暴騰を記録した。太陽光発電メーカーはこれまでの価格上昇を吸収してきたが、銀価格がさらに70%上昇し1オンス134ドルに達すれば、利潤が圧迫され生産停止や代替技術への転換を余儀なくされる「損益分岐点」を迎えるとの分析もある。
米国は2025年11月に銀を「国家重要鉱物リスト」に加えたが、依然として供給の多くを中国に依存しているのが実情である。ジョージ・メイソン大学のタイラー・コーエン教授は、金・銀価格の急騰は投資家によるドル依存からの脱却を反映しており、米国経済に対する「警告」であると指摘した。OpenAIが提唱する「電子は新しい石油(Electrons are the new oil)」という言葉通り、エネルギー供給の根幹を成す金属資源を掌握した者が、次世代の産業覇権を握ることになる。中国の今回の措置は、資源を戦略的な武器として活用する姿勢を鮮明にしており、世界経済は新たな供給リスクの局面に突入している。
[出典]
- 中國今起管制白銀出口看齊稀土 全球供應鏈恐受衝擊
- 比照稀土管制 中國白銀出口新規恐衝擊供應鏈
- 陸管制銀想操控能源?太陽能商還能承受70%漲幅
#中国輸出規制 #銀価格 #サプライチェーン #太陽光発電 #AIインフラ

