
2025年12月、中国の動漫(アニメ・マンガ)業界に激震が走った。中国最大規模を誇る同人誌即売会「Comicup(コミックアップ)32」(以下、CP32)の実行委員会は、開催までわずか1週間という異例のタイミングで、日本関連の題材および二次創作内容の展示を全面的に禁止すると発表した。この決定は、長年培われてきた日中の民間文化交流に冷や水を浴びせるだけでなく、巨大な経済損失を招く事態へと発展している。
突然の「新中式」転換と現場の混乱
CP32は当初、2025年12月27日から28日にかけて浙江省の杭州大会展中心で開催される予定だった。しかし、実行委員会は12月19日、「現在の社会環境への考慮および文化的責任」を理由に、イベントのテーマを急遽「新中式風格(新中華スタイル)」へと変更することを公告した。この方針転換により、事実上「非国産IP(知的財産)」が排除されることとなった。
現場の混乱は深刻だ。約7,000ブースが予定されていた大規模イベントにおいて、日本作品を扱っていた多数のサークルが「不可抗力」を理由に強制的な撤退を余儀なくされている。運営側からの内部通知によれば、会場内では当局による巡回審査が行われ、日本のアニメキャラクターなどのコスプレ(Cosplay)も一切禁止されるという。これに対し、準備を進めていたクリエイターやファンからは、行き場のない怒りと落胆の声が上がっている。
政策意図と背景:日中関係の「冷却」が直撃
今回の強硬な措置の背景には、急速に悪化する日中関係がある。特に、日本の高市早苗首相による「台湾有事」に関する発言が中国当局の強い反発を招き、外交上の緊張が民間の文化・エンターテインメント領域にまで波及した形だ。中国当局は現在、日本関連の文化活動に対する締め付けを強化しており、日本人アーティストの公演中止や訪日旅行の制限といった動きが相次いでいる。
CP32における日本IP排除は、単なる一イベントのルール変更ではなく、国家間の政治的対立がサブカルチャーという「ソフトパワー」の交流を分断した象徴的な事例といえる。主催側が表明した「文化的責任」という言葉には、愛国主義的な価値観を優先し、外国文化、特に日本文化の影響力を抑制しようとする政策意図が透けて見える。
経済的損失と長期的な影響
この決定による経済的打撃は看過できない。今年10月に上海で開催された同シリーズのイベントでは、延べ数十万人が来場し、現地の観光・文化消費として約6億元から10億元(約120億〜200億円)の経済効果をもたらしたと推計されている。今回の杭州開催においても、日本作品の排除によって約20万人の来場減が見込まれており、宿泊、飲食、交通を含めた地域経済への損失は数億元規模に達する見通しだ。
また、中小規模の同人サークルにとっては、印刷費や宿泊費などの先行投資が回収不能となる死活問題となっている。こうした政治的リスクの顕在化は、中国国内のコンテンツ産業の萎縮を招き、長期的にはクリエイティビティの低下や、国際的な文化市場からの孤立を加速させる恐れがある。日中関係の劇的な改善が見られない限り、中国におけるアニメ・マンガ文化はかつてない「冬の時代」を強いられることになるだろう。
[出典]
#Comicup32 #中国アニメ展 #日本IP禁止 #日中関係 #杭州

