米中警察が連携し薬物マネーロンダリング摘発、3.6億円の地下銀行ルートを解明

米中警察の戦略的連携がもたらした大規模マネロン摘発の全貌

中国公安省と遼寧省瀋陽市公安局は、米国当局からの情報提供を端緒として、薬物密売組織のマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した疑いのある自動車販売店経営者らを摘発した。瀋陽市皇姑区人民法院(裁判所)は2025年9月、不法経営罪により、主犯の佟(トン)被告に懲役1年7カ月、共犯の陳被告に懲役1年4カ月の実刑判決を言い渡した。

捜査の始まりは2024年4月、米側から中国籍の人物による資金洗浄の疑いが通報されたことにある。中国警察はこの情報を重要視し、同年5月20日には国外逃亡を図った両被告を武漢市で拘束した。捜査の規模は極めて大きく、25の捜査チームが16省43都市に派遣され、2,000人以上の関係者や数百万件におよぶ取引記録を解析。最終的に1,000万件を超える取引データを精査し、犯罪の全容を解明した。

地下銀行決済と仮想通貨を組み合わせた巧妙な資金洗浄スキーム

調べによると、佟被告らは2017年から米国で自動車販売店を経営する傍ら、中国国内の銀行口座を不正に利用し、米ドルと人民元を交換する「地下銀行決済(対敲)」に従事していた。特に注目すべきは、メキシコ人ビジネスパーソン(JC)との取引において、ビットコインやテザー(USDT)などの仮想通貨を介在させていた点である。

被告らは、中国国内の口座で人民元を受け取った後、仮想通貨を購入してメキシコ側に送金し、米ドル現金に換金するという複雑な工程を経ていた。これにより累計1,600万元(約3.2億円)もの資金を不法に扱ったとされる。主犯の男性経営者は「資金が薬物犯罪に関連するものだとは知らなかった」と容疑を一部否認しているが、当局の捜査により、多額の現金預け入れや仮想通貨取引を通じて米中両国の監視網を組織的にくぐり抜けようとしていた工作活動が立証された。

地政学的対立を超えた実務的な犯罪対策連携の意図

今回の摘発は、単なる一犯罪の解決に留まらない重要な政策的意図を含んでいる。中国側は、捜査で判明した詳細な犯行手口を米中間の連絡窓口を通じて米国側へフィードバックし、実務的な捜査協力を実施した。これは、ハイテク覇権や地政学的な対立が続く米中関係において、麻薬対策や国際犯罪の打撃という共通の利益においては、依然として強固な協力メカニズムが機能していることを内外に示す象徴的な事例となった。

特に、2025年11月26日に深セン・塩田港でコカイン430キロが押収された事件に続き、短期間に相次いで共同捜査の成果が発表されたことは、両国が「禁毒(麻薬取締)」分野を外交上の数少ない協力の柱として維持しようとする意思の表れといえる。今後も、仮想通貨を利用した国境を越える新型マネーロンダリングに対して、米中間の情報共有と共同摘発の動きは加速すると予測される。


[出典]

マネーロンダリング #薬物犯罪 #米中協力 #地下銀行 #仮想通貨

タイトルとURLをコピーしました