中国湖北省十堰市鄖西県で、企業の社員3人が会食後に飲酒し、工業用アルコールを誤って摂取したことによるメタノール中毒事故が発生した。地元公安当局によると、1人が死亡し、1人が脳死と判定、残る1人は昏睡状態で治療が続いている。
事故は11月21日夜に起きた。自動車部品メーカー、神風実業有限公司に勤務する作業員3人が勤務終了後、工場近くの飲食店で会食した際、社員食堂から持ち出した酒を飲んだ。この酒は、食堂の職員が調理器具用燃料として保管されていた工業用アルコールを白酒と誤認し、量り売りの酒として提供していたことが判明している。
飲酒後、3人は視力障害や体調不良を訴え、相次いで病院に搬送された。当初、医療機関では原因の特定が難航したが、複数の患者で同一の異常値が確認されたことから、急性メタノール中毒と診断された。検査報告によると、被害者の1人の血中メタノール濃度は41.33mmol/Lに達し、正常値である0.0156mmol/L未満を大きく上回っていた。
捜査の進展と企業管理の問題
鄖西県公安局は12月15日、事件として正式に立件したと発表した。捜査の結果、中毒の原因となった酒は、社員食堂の職員である胡某が、炊事用燃料として使われていた工業用アルコールを白酒と取り違え、社員に提供したものと確認された。胡某にはすでに強制措置が取られており、事件は引き続き捜査中とされている。
企業側は、被害者の医療費として40万元余りを立て替えて支払っていると説明しているが、問題は個人の過失にとどまらない。工業用アルコールが食堂内に持ち込まれ、酒類と区別されない状態で保管されていた管理体制そのものが問われている。中国では過去にも、非飲用アルコールの誤飲事故が各地で発生しており、職場や食堂での危険物管理は長年の課題となってきた。
特に企業内食堂は、外部業者への委託が一般的である一方、監督責任の所在が曖昧になりやすい。今回の事故は、委託業者任せの運営が重大事故につながるリスクを改めて浮き彫りにした形だ。
制度的背景と再発防止の課題
中国では工業用アルコールと飲用酒類は制度上、明確に区分されているが、現場レベルでの表示管理や教育が徹底されていないケースも少なくない。とりわけ地方の中小企業では、安全管理コストが後回しにされがちで、今回のような事故が繰り返されてきた。
当局は、刑事責任の追及と並行して、企業の安全管理体制や委託先管理の実態についても調査を進めている。今後、同様の事故を防ぐためには、工業用アルコールの保管・表示の厳格化に加え、企業側による定期的な監査や従業員教育の義務化が不可欠となる。
湖北で起きた今回の事故は、単なる不注意による悲劇ではなく、企業統治と安全管理の構造的欠陥を示す事例として、全国的な議論を呼ぶ可能性がある。
[出典]
・百度百家号
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1851562620513380994
・星島頭條
https://www.stheadline.com/realtime-china/3527345/
・香港01
https://www.hk01.com/article/60304010

