南京事件国家追悼式 12月13日に南京で開催 日本大使館が安全確保を呼びかけ

■「南京事件 国家追悼式」が12月13日に開催 日中戦争80周年の節目

 中国江蘇省南京市で、南京事件犠牲者を追悼する「南京事件 国家追悼式」が2025年12月13日午前10時から侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館で実施される。12月13日は中国側が定める「南京大虐殺犠牲者国家公祭日」であり、追悼式は今年で12回目となる。

 追悼式では事件の犠牲者、日本の侵略により命を落とした同胞、抗日戦争で死亡した革命烈士や民族英雄が追悼対象とされる。中国政府は本年を「中国人民抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利80周年」に位置づけ、歴史教育や記念活動を国家規模で強化しており、今回の追悼式もその一環と位置づけられる。


■在中国日本大使館が安全確保を呼びかけ 反日感情の高まりに警戒

 在中国日本大使館は、12月13日が中国側で「南京事件」の象徴的な日に当たること、さらに80周年事業が重なることから、歴史問題に関する報道や議論が増え、反日感情が高まりやすい可能性を指摘。当地在留邦人に安全対策の徹底を求めている。

 大使館は、外出時には周囲の状況確認を徹底し、複数人で行動することを推奨。大声での会話や日本人と推測されやすい行動を控えるよう助言している。また、混雑地域や大規模集会など、不測の事態が起こり得る場所は避けるべきだとしている。不審者や集団を見かけた際は近づかず、速やかにその場を離れるよう求めている。


■当日の追悼行動 10時01分に防空警報、黙祷が実施

 追悼式当日の12月13日10時01分から10時02分まで、南京市中心部で防空警報が鳴らされる。高速道路や高架道路を除く市街地の道路では走行中の車両が停車し、クラクションを鳴らして哀悼を示す。鉄道や船舶も同時に汽笛を鳴らし、通行人や公共施設利用者には1分間の黙祷が呼びかけられる。

 中国では毎年12月13日に全国的な追悼が行われるが、今年は「抗日戦争勝利80周年」の節目に当たり、全国的に関連報道が増加している。中国メディアは歴史記憶と平和の重要性を強調する論調を強め、社会的関心も高まっている。


■中国側の歴史政策と社会背景 80周年事業が意味するもの

 中国政府はここ数年、歴史認識・抗日戦争史を国家統合の重要要素として強調してきた。特に30周年、50周年、70周年と節目の年には大規模行事を実施しており、今年の80周年も同様に全国で記念展示、教育プログラム、メディア報道が強化されている。

 こうした背景から、南京事件に関わる日には社会的な感情が普段より敏感になる傾向がある。今回の追悼式も国際社会への「歴史記憶の共有」や国内統合を意識した発信が強まるとみられ、在留外国人にとっても周囲の空気を丁寧に読み取る必要が高まっている。

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