中仏首脳会談、ウクライナ停戦と経済協力強化が焦点 12件の協力協定で関係深化へ

マクロン氏、習近平氏に停戦を要請 欧州が中国の役割に期待を強める

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は4日、北京で中国の習近平国家主席と会談し、ロシア・ウクライナ戦争の早期停戦に向けて中国が影響力を行使するよう求めた。欧州連合(EU)は戦争長期化が経済と安全保障に及ぼす影響を懸念しており、中国を対話仲介の重要プレーヤーとして位置づける姿勢を強めている。

マクロン氏は、重要インフラへの攻撃が続く現状を踏まえ、「できるだけ早期の停戦実現に向け、国際社会が力を合わせる必要がある」と発言した。
一方、習氏は直接的な言及は避けつつ、「中国は平和に資するあらゆる努力を支持する」と述べ、中国独自の外交余地を残した。

国際社会では、中国がロシアの軍需産業に軍民両用部品を供給しているとの指摘が続き、欧州は中国に対し透明性と責任ある行動を求めている。今回の会談は、戦争終結に向けた欧州と中国の距離を測る重要な局面となった。


経済協力拡大へ 12件の協力協定を締結、航空宇宙からパンダ保護まで

中仏両国は今回の会談で、人口高齢化、投資、宇宙、航空、民生用原子力、再生可能エネルギー、そしてパンダ保護など、合計12件の協力協定を締結した。
仏中の経済関係は、電気自動車(EV)補助金問題やレアアースの供給制限などを背景に摩擦が続いているが、協力拡大の合意は双方の関係が依然として強固であることを示している。

マクロン氏は記者会見で「貿易戦争は最悪の選択肢だ」と述べ、供給網の不安定化への共同対応を提案した。中国はフランスの第7位の貿易相手であり、航空機部品や化粧品などの輸出が多い一方、フランスの対中貿易赤字は拡大している。

習氏は、2026~2030年の国家計画「第15次五カ年計画(十五五)」において、フランス企業に新たな参入機会を提供する方針を示し、人工知能、バイオ医薬、核能などの戦略産業を中心に協力を広げる意向を強調した。


政治対話、人文交流、国際秩序改革での協力を確認

会談後の共同記者会見で習氏は、両国が今後重点的に進める4分野として、
(1)政治的信頼の増進
(2)実務協力の拡大
(3)文化・教育を含む人文交流の促進
(4)グローバルガバナンス改革の推進
を挙げた。

特に文化交流では、新たなパンダ保護協力に加え、科学技術教育や地方交流の強化が確認され、対話を基盤とした「安定した中仏関係の長期的構築」が打ち出された。

国際政治の多極化が進むなか、中国は欧州との協力を「自主性を尊重するパートナー関係」と位置づけており、米中対立が深まる中でフランスとの協働を強める意図が透けて見える。


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