
2025年10月 手足口病報告数が過去にない高水準に、流行期が後ずれ
中国における法定伝染病の流行状況が、季節性インフルエンザの猛威と相まって複雑な様相を呈している。特に小児を中心に感染が広がる手足口病について、中国疾病対策予防センター(CDC)が発表したデータは、例年とは異なる深刻な流行パターンを示している。中国メディアの新京報が2025年11月28日に伝えたところによると、10月の手足口病報告症例数は37万8700人に達し、これは2025年に入ってからの月間最高値となった。
法定伝染病の概況では、10月の発病数で手足口病はインフルエンザに次いで2番目に多く、丙類伝染病報告症例総数の99.0%を占める上位3疾病の一つだ。例年の手足口病の流行期は、春から夏の5月から7月にかけてピークを迎えるのが通例である。しかし、今年は秋の10月に流行のピークがずれ込み、報告数が過去のピーク月を上回る異例の事態となった。
中国ワクチン産業協会市場専門委員会の劉沛誠副主任委員は、近年の国内の手足口病流行ピークは昨年より後方に移動しており、10月に入ってからの症例数の大幅な増加は、昨年のピーク値を顕著に上回っていると指摘。特にデータ公開省のうち、四川省と広東省の報告症例数が、昨年同期の全国報告症例総数を上回っており、これら地域への重点的な警戒が必要との見解を示している。
🦠 年長児や成人への感染拡大、特効薬なき現状と予防接種の重要性
手足口病は複数の腸管ウイルスによって引き起こされる小児の一般感染症であり、通常は5歳以下の乳幼児が主要な感染対象とされる。しかし、SNS上での保護者からのフィードバックや、東莞市CDCが報じた浙江省での学級閉鎖事例などから、今回の流行では小学校、中学校、高校、さらには成人への感染拡大も確認されている。これは、感染対象の拡大という点で、従来の知見を超える「新たな特徴」といえる。
手足口病の感染経路は、直接・間接的な接触、飛沫、糞口感染と感染力が強い。現在のところ、この疾患に対する特効薬は存在せず、治療は対症療法に限られるため、感染予防措置が流行拡大を抑制する上で極めて重要となる。予防接種に関しては、国内でEV71型不活化ワクチン(手足口ワクチン)が承認・供給されているが、これは重症化の主要な原因であるEV71型ウイルスに特化したもので、他の病原体による感染を完全に防ぐことはできない。また、接種対象年齢は生後6ヶ月から71ヶ月(6歳未満)に限定されており、今回の感染拡大が確認されている6歳以上の学童や成人には接種対象外である。
北京市の専門家は、ワクチンの有無にかかわらず、手足口病の感染が確認されたクラスの児童に対して緊急接種を強制するものではないとしつつ、感染力の強さから、手足口病は注意深く監視すべきであると強調する。保護者は、子どもの手足や口、お尻などに現れる発疹や、発熱、食欲不振といった初期症状を早期に把握し、対応する必要がある。
⚠️ 重症化のサインを見逃すな:発熱の長期化と神経症状への警戒
手足口病のほとんどの症例は軽症で、7日程度で自然治癒し予後は良好とされる。しかし、少数ながら神経系や循環器系の損傷を引き起こし、脳炎、肺水腫、心不全などの重篤な合併症、さらには死に至る重症型が存在する。
東莞CDCは、保護者に対し、患児が以下の重症化のサインを示した場合、速やかに医療機関を受診するよう強く警告している。
- 体温が38.5℃を超えて3日以上続く場合。
- 精神的な落ち込み(精神萎靡)、眠気(嗜睡)、食欲不振、頻繁な吐き気や嘔吐。
- 落ち着きのなさ(煩躁不安)、呼吸促迫、心拍数の増加、顔面蒼白(解熱後も改善しない)。
- 手足の頻繁な震え、驚き、睡眠への深刻な影響。
- 頭痛、眼球上転、冷や汗、けいれん発作。
今回の異例の秋の流行は、単なる季節性の変動にとどまらず、公衆衛生上の新たな課題を示唆している。特に広東省や四川省といった重点地域の動向と、インフルエンザとの同時流行による医療機関への負荷増大が懸念される状況だ。
出典
新京報:10月手足口报告病例数今年最高,孩子出现这些症状需及时就医
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