安徽の世界的化学メーカーで工場が爆発炎上 1人死亡

安徽新遠科技で爆発火災 黒煙と爆発音、広範囲で確認

2025年11月19日午後3時17分、安徽省黄山市徽州区岩寺鎮の循環経済園にある化学メーカー、安徽新遠科技の工場で爆発と火災が発生した。ネット上には、巨大な爆発音とともに黒煙が渦を巻き、赤い炎が環状に燃え広がる様子が投稿され、黄山市の広い範囲から確認された。現場周辺では撮影を試みた住民が制止される場面もあり、情報公開の透明性が問われた。

徽州経済開発区管理委員会は19日午後5時12分、消防など複数部門が緊急対応を開始し、火勢が制御されたと発表した。その後、19日夜8時以降、新華社が続報を配信し、現場の明火が鎮圧されたこと、火災によって1人が死亡したことを確認した。出火原因は依然として調査中で、具体的な説明は示されていない。


世界シェア20%超の機能性化学メーカーで重大事故

安徽新遠科技股份有限公司は2004年に設立された化学系ハイテク企業で、エポキシ樹脂用「活性希釈剤」を主力としている。同社は年間5万トンの生産能力を有し、世界市場シェアは20%を超える。活性希釈剤は電子材料、コーティング、接着剤などに不可欠であり、世界的な供給網において重要な役割を担う。

こうした機能性化学品メーカーで発生した爆発事故は、安全管理体制への影響が大きく、同社の工場が位置する徽州区の産業政策にも波及しかねない状況だ。


専門家が指摘する“蒸気爆発”の可能性と化学工場の脆弱性

消防系ブロガー「靠山屯閒話」は、現場映像を分析し、可燃性液体が漏洩し、蒸気が爆発した可能性を指摘した。漏れた液体が地表を広がって燃える「流れ燃え」や、液体が飛び散りながら燃え広がる現象も確認されたという。

専門家は、化学工場における最大の危険は「漏洩」と「爆発」であり、特に設備点検や修繕のタイミングでは事故発生リスクが急上昇すると警告する。今回の爆発も、設備内部の圧力変動や溶剤管理の不備など複合要因があった可能性がある。


中国で相次ぐ化学工場事故 背景に安全管理の構造的課題

中国では2025年に入り化学工場事故が相次いでいる。

  • 11月17日(福建省泉州市):中化泉州石化の石油精製プラントで火災が発生し、7人が負傷
  • 6月(河南省平頂山市):中国平煤神馬集団尼劉科技の化学繊維工場で爆発が発生し、1人死亡・3人負傷
  • 河北・山東などでも同年、化学工場やバイオ製薬工場で爆発事故が続発

これらの事故は、原料の取り扱い、施設の老朽化、安全教育の不徹底などが複合的に絡み合っており、国家レベルの安全管理強化が求められている。

安徽新遠科技の事故は、化学産業の安全リスクを再び浮き彫りにし、地方政府による規制強化や企業の設備更新を迫る契機となる可能性がある。


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