
ローレンス・ウォン首相、日本の地域安全保障での役割拡大を支持
シンガポールのローレンス・ウォン首相は、日本の高市早苗首相による台湾関連発言が原因となり日中関係が緊張するなか、日本が地域の安全保障でより重要な役割を果たすことを支持した。米ブルームバーグ通信主催の国際フォーラム「Bloomberg New Economy Forum」で、ウォン首相は東南アジア諸国が日本を信頼できるパートナーと位置づけ、積極的な安全保障関与を歓迎していると述べた。
さらにウォン首相は、日中両国は主要貿易相手でありながら、領土問題、戦争の歴史、日米同盟の存在などによって関係が複雑化していると指摘した。そのうえで、東南アジアは「歴史を脇に置き、将来へ進む」という姿勢を取り、日本との協力関係を築いてきたと述べ、日中双方にも同様の歩み寄りを求めた。
台湾海峡の戦争可能性は「低い」 一方、日中は安定志向
ウォン首相は台湾海峡情勢について、米国が一つの中国政策を維持している限り、台湾が独立を宣言するなど北京の“レッドライン”を本当に踏み越える事態が起きなければ、戦争は起こりにくいと述べた。日本は中国との関係を安定させる方向にあるとの見方も示し、「中国側も同様に冷静さを保ち、意見の違いがあっても協力し共存すべきだ」と語った。
ウォン首相の発言は、緊張を高めるよりも、現実的な安定維持を重視する姿勢を反映している。
ロシアは日本を批判、台湾は日本支持へ 構図は三者三様
日中緊張が高まる一方、ロシア外務省は日本を強く批判した。ザハロワ報道官は高市早苗首相の発言を「危険」と断じ、日本は第二次世界大戦の歴史を深く反省すべきだと主張した。ロシアは一貫して中国側の立場に寄り添う姿勢を示しており、今回も中国を支持する形となった。
対照的に台湾の頼清徳総統は高市首相を支持し、中国に対し「トラブルメーカーになるな」と呼びかけた。これに中国側は強く反発し、新華社は頼総統を「媚日」と批判。台湾では大陸委員会の梁文傑副主任委員が、「台湾人が日本を支持するのは植民地時代の遺緒ではなく、現在の生活様式と価値観を守りたいからだ」と反論した。
東南アジアは“選ばされない”独立路線を堅持
ウォン首相は中米関係にも触れ、対立と不信が続く現状を認めつつも、最近の米中対話で生まれた「臨時休戦」やガードレール構築は地域安定に不可欠だと述べた。米国は依然として東南アジア最大の投資国であり、同地域は冷戦期のような代理戦争の舞台となることを強く拒否している。
ASEANが日本を重視し、安全保障上の役割を歓迎する背景には、この独立路線と複雑な地政学的バランスがある。
[出典]
- https://udn.com/news/story/124658/9151134
- https://www.hk01.com/即時國際/60295978
- https://www.chinatimes.com/newspapers/20251121000763-260303

