上海 新築マンション外壁剥落問題 1.5億円の新居が大規模損傷 安全性と施工品質に疑念

上海市嘉定区の新築マンション「金地西郊・悦章」で、引き渡しから1年足らずの外壁が大規模に膨らみ剥落する事態が相次ぎ、住民の間で強い不安と反発が広がっている。販売時には「上海の人気新盤」と評価された物件だったが、複数棟で外壁が大小さまざまに膨れ上がり、塗装が剥離して下地が露出。5号棟では外壁の約三分の二がめくれ落ち、連絡通路のガラス屋根には破片が散乱した。

住民は700万元超を投じた新居が「傷だらけ」になったとして強い危機感を示す。外壁剥落は共用部への落下事故につながる恐れがあり、安全面で看過できない問題となっている。


住民によると、昨年の内覧時点で外壁の膨れは確認されていたが、開発会社は「引き渡し後すぐ修繕する」と説明。子どもの入園準備などで早期入居が必要だった住民はこの言葉を信じて購入を決めた。

しかし今年4月以降、膨れは“爆発的”に拡大。亀裂が走り、塗装が破れ、破片が次々落下した。7月時点で5号棟の外壁は約五分の二が剥落し、被害の範囲は拡大し続けた。


開発側の補修は「セメントを塗るだけ」 1か月で再び膨れ・剥離

開発会社は2度の局所補修を行ったが、内容は剥落部にセメントを薄く塗るだけの簡易作業だった。元の外壁との色差も大きく、外観の統一性は失われた。
さらに補修後1か月で再び膨れが発生し、未補修部分も次々剥離。住民は「完全なパッチ当て」「根本原因を無視した施工だ」と憤る。

この状況は、ほかの地域で問題となった外壁崩落事故とも共通する構造的課題を想起させる。
関連事例:

中国各地で外壁関連事故が続く中、本件も施工品質や検査体制に問題がある可能性が指摘されている。


住民の通報は管理会社で握りつぶされ、行政が把握したのは10月中旬

住民は5月から管理会社・開発会社に繰り返し連絡したが、開発側は「上に確認中」「記録する」と回答するのみで進展がなかった。
さらに管理会社は住民の訴えを居委会(自治組織)に報告しておらず、行政側が状況を把握したのは10月中旬だった。

初の正式な説明会で開発側は「工事品質の問題」を認めたが、書面では「局所補修を継続」と記しただけで全面修繕には触れなかった。この対応に住民の不信感は一層強まった。


嘉定区房管局「断熱層にも問題」 施工不良・手抜きの可能性が浮上

11月の四者会議で、嘉定区房管局担当者は
「外壁だけでなく内部の断熱層にも問題がある」
と指摘した。断熱層の欠陥は剥落リスクを高めるだけでなく、防水・断熱性能を損なう重大不良である。

専門家は以下の可能性を挙げる。

  • 断熱層と外層の間に必要な耐アルカリネットが施工されていない
  • 接着不良や材料不適合による膨れ
  • 竣工検査(五方検査)での不適切なチェック

このため施工不良や構造的欠陥、さらには手抜き工事の可能性まで取り沙汰されている。


嘉定区はすでに専従チームを設置し、開発会社に主体責任の履行を要求した。
修繕前には外壁落下事故を防ぐ保護措置を徹底し、生活安全の確保を義務付けている。


金地集団上海区域の担当者は外壁の空洞化を認めた上で、
「現在見られる剥落は補修作業の一環として空洞部分を削り取っているため」
と釈明した。

しかし住民からは「安心して暮らせる家がいつ実現するのか見通せない」との声が続いている。


[出典]

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