
高市早苗首相による「台湾有事」発言が火種となり、中国側の強い反発が続く中、日本政府は在中邦人に対して警戒を強めるよう求めた。北京の日本大使館は11月17日、外出時の警戒強化や周囲への注意、複数での行動、子ども連れの場合の慎重な対応を促す「安全対策」を発表した。在中邦人が現地で巻き込まれるリスクを下げるため、現地風俗の尊重、人混みの回避、不審人物発見時には即時離脱する姿勢を求めている。
さらに、日本大使館は緊急連絡先や電子版の安全ガイドも提示し、休日や時間外でも対応すると強調した。日本側は、中国メディア上で反日論調が強まっている現状を背景に挙げており、在中邦人に対する具体的な安全対策の発信は異例の強さを帯びている。
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中国側の反発と外交レベルでの緊張拡大
中国外交部の毛寧報道官は、高市発言が「中国の内政に乱暴に干渉した」と批判し、「誤った発言の即時撤回と反省」を日本側に要求した。18日には、訪中した日本外務省アジア大洋州局長・金井正彰氏と、中国外交部アジア司の劉勁松司長が会談したものの、議論は平行線をたどった。劉氏は「当然ながら満足していない」と述べ、事態の深刻さを示した。
国連でも中国の傅聡代表が高市発言を強く批判し、「日本は戦後の誓約に背いている」として、日本の安保理常任理事国入りを認めない姿勢を鮮明にした。
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中国政府の渡航警告と広がる経済・文化面の影響
中国政府は14日と16日、中国国民に対し「日本への渡航を控えるよう」注意喚起し、日本滞在の中国人にも治安警戒を求めた。中国外交部は「日本で中国公民を狙った事件が増えている」と主張しており、これを受けて中国の航空会社では日本行き航空券の大量キャンセルが発生した。ガーディアンなどの分析では、11月15〜17日だけで約49万枚がキャンセルされたとされる。
航空・観光業への打撃に加え、日本映画の中国国内公開が無期限延期となるなど、文化交流にも影響が広がる。SNS上の民族主義的論調も強まり、日中関係はさらなる緊張局面に入っている。
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