中国で相次ぐ天井崩落事故 西安商業施設で8人負傷、開業わずか3日目

11月17日午前、陝西省西安市の新城区にある大型商業施設「龍湖長楽天街」で仮天井が崩落し、来店客8人が負傷した。事故が発生したのは開業からわずか3日後で、崩落したのは商場3階、エスカレーター上部の天井部分だった。落下面積は約30平方メートルに及び、天井板や金具が下階まで飛散し、現場には大量の粉じんが充満した。映像には血痕、破片、倒れ込む買い物客が映っており、現場の混乱が明らかになった。

新城区応急管理局は通報後ただちに救助を開始し、負傷者は順次搬送された。運営会社の西安伝化盛世不動産開発有限公司によると、負傷者8人のうち3人が骨折、4人が軽傷、1人が足に軽いけがを負い、全員の容体は安定しているという。同社は事故を受け、商場の営業を全面停止し、政府部門とともに事故調査班・医療救助班・事後処理班を立ち上げ、原因究明と再発防止に当たる方針を示した。運営側は「深い遺憾と自責の念」を表明し、負傷者への補償と医療支援を続けるとしている。

「龍湖長楽天街」は西安で初めて、鉄道や地下鉄と一体開発された大型商業施設として注目を集めていたが、開業直後の重大事故により安全管理体制への疑問が浮上している。


中国で相次ぐ天井崩落 各地の構造リスクが表面化

今回の西安の事故は単発ではない。中国では「天井崩落」が繰り返し報告されている

2024年9月、広東省潮州市の病院ホールで天井板が落下し、患者4人が重軽傷を負った。事故当時、作業員が天井上で作業していたが、警戒線が設置されておらず、安全管理の不備が指摘された
病院ホールの天井板崩落 患者ら4人重軽傷(広東)

同年10月、広東省東莞市のショッピングモールでは、EV展示場上部の天井が崩落し、買い物客1人が病院搬送された
商業施設で天井板崩落 1人が病院搬送(広東)

11月には深セン市の商業施設「卓悦匯市場」で大規模な天井落下が発生し、幸い負傷者は出なかった
深センの商業施設で天井板崩落 けが人なし

さらに2019年7月、黒龍江省ハルビン市のスーパーマーケットでは、開業から10日足らずで天井が落下し、買い物客13人が重軽傷を負った
スーパーの天井落下、13人けが(ハルビン)


施工品質と管理体制の遅れ

これらの事故には複数の共通点がある。

  1. 開業直後・工事直後の崩落が多い
     西安とハルビンでは、開業数日以内に事故が発生している。
  2. 天井内部構造の固定不良や検査不足
     調査開始段階であっても、いずれの事例でも構造材の固定方法や施工管理の不備が疑われている。
  3. 施設用途が公共性の高い場所に集中
     病院、ショッピングモール、スーパーなど、利用者が多い施設での崩落が続く。
  4. 安全管理の制度運用にばらつき
     作業中に警戒線がなかった潮州の事例のように、現場レベルの管理不足がそのまま事故につながっている可能性が高い。

これらは、中国の都市部で急速に建設が進む商業施設・公共施設において、施工監理や検査体制が追いついていないことを示唆する。

タイトルとURLをコピーしました