外務省が高官を緊急派遣 首相発言撤回には応じず

高市早苗首相の「台湾有事は日本の存立危機事態になり得る」との国会答弁に対し、中国が猛反発した事態を受けて、外務省は17日、緊張緩和を目的に金井正彰アジア大洋州局長を北京へ派遣した。金井局長は18日、中国外交部アジア外務省が高官を緊急派遣 首相発言撤回には応じず

高市早苗首相の「台湾有事は日本の存立危機事態になり得る」との国会答弁に対し、中国が猛反発した事態を受けて、外務省は17日、緊張緩和を目的に金井正彰アジア大洋州局長を北京へ派遣した。金井は18日、中国外交部アジア司の劉勁松司長と会談し、日本の基本立場は1972年の日中共同声明に基づく「中華人民共和国が中国の唯一の合法政府である」点から変わらないと説明する方針である。

しかし、今回の派遣は中国側の要求に応じるためのものではない。中国は高市発言を「誤った言論」と断じ、発言撤回を強く求めているが、日本政府はこれに応じず、発言の撤回は行わない姿勢を崩していない。共同通信も、協議が膠着状態を解きほぐす可能性は見通せないと指摘した。

中国側の反応は厳しく、人民日報による異例の全面批判(関連記事)や中国外交部による日本大使召喚(関連記事)など、対日圧力を強める動きが続く。また、中国駐大阪総領事の「斬首」示唆投稿(関連記事)など、官製メディア・外交筋からの攻撃的な言動も相次ぎ、対立の度合いを高めている。


中国は軍事・渡航・世論で圧力 日本は対話継続を重視

中国は外交的抗議にとどまらず、軍事・渡航・世論の各面で日本への圧力を強めている。中国海事局は黄海中部で17〜19日の3日間、実弾射撃訓練を実施すると告知。文化・観光部と教育部は「日本で中国公民を狙った犯罪が多発している」として渡航自粛と留学の慎重な検討を呼びかけ、在日中国人留学生にも安全への警戒を促した。

日本の木原稔官房長官は、こうした中国側の警告措置について「両国首脳が掲げる関係改善の方向性と一致しない」と批判。16日に中国海警船が尖閣諸島周辺に長時間滞留した事例も懸念材料として挙げ、官製メディアの侮辱的な論調(関連記事)も続いており、政治・外交の緊張は収まっていない。

一方、今回の発言を契機に中日関係の悪化が経済へも波及している。とりわけ中国は日本最大の観光客供給国であり、中国政府が渡航自粛を呼びかけたことで、訪日需要の後退が懸念される。2025年1〜9月には約750万人の中国人が日本を訪問しており、消費額は外国人全体の28%に達した。17日には資生堂、高島屋、パン・パシフィックなど観光関連銘柄の株価が下落し、市場の敏感な反応を示した。

日本政府は外務省高官派遣によって対話の枠組み維持を示したが、中国側が発言撤回を求め続ける限り、溝は依然深い。G20南アフリカ会議での日中首脳会談も見送られ、緊張は長期化する可能性が高い。日中関係が新たな局面に入る中、双方がいかに対話の糸口を確保するかが今後の焦点となる。


[出典]


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https://www.alertchina.com/post-33547/

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