中国、ネクスペリア問題で欧州に圧力 半導体の供給網に再び緊張も

オランダ政府が9月30日、安全保障上の懸念を理由に中国系半導体メーカー・ネクスペリア(安世半導体)の経営権を1年間凍結した問題をめぐり、中国が欧州への外交圧力を強めている。中国の王文濤商務相は11日、ドイツのライヒェ経済エネルギー相とオンライン会談を実施し、「問題の根本はオランダ政府の不当介入であり、世界の供給網を混乱させている」と指摘した。

王商務相は、ドイツに対してオランダへ是正を促す役割を果たすよう求めた。第三国に対してオランダへの圧力行使を公然と求めたのは、中国として初めてとされる。

中国側はこの1週間、欧州連合(EU)に対しても措置撤回を働きかける一方で、一部製品の輸出規制を緩和した。EUは8日、中国が民生用途に限定する条件で、一部チップ輸出を再開したと発表している。

背景としては、ネクスペリアが自動車向け半導体の主要供給企業であり、欧州自動車産業にとって不可欠な存在であることがある。オランダの接収を受け、中国商務省は10月4日、ネクスペリアの中国工場で生産された特定部品の輸出禁止措置を発表し、欧州の供給網に動揺が走った。

内部リンク:
ネクスペリア混乱が欧州自動車産業を直撃
ネクスペリア接収と中国の報復


オランダは協議再開へ:代表団を北京に派遣、EUとともに供給網修復を模索

オランダのカレマンス経済相は11日、「EUと連携し、半導体供給網の早期修復に努める」と表明した。さらに13日、ネクスペリア問題の解決策を探るため、来週にも北京へ代表団を派遣する方針を明らかにした。

ただし、オランダ側は中国が批判する「政府の介入」について、次のように説明している。

「ネクスペリアの通常の事業運営を妨げるものではなく、欧州域内で半導体の生産や部品供給が途切れないようにするための安全保障措置である」

ネクスペリアは中国の聞泰科技(Wingtech Technology)による完全子会社で、近年は欧州自動車産業のサプライチェーンで存在感を増してきた。オランダ当局は「技術流出と生産移転の懸念」により介入したと説明している。

しかし、所有権や経営権をめぐる根本的な対立は解消しておらず、双方の協議が暗礁に乗り上げた場合、半導体不足が再燃し、欧州自動車産業に再び影響が広がる恐れがある。

内部リンク:
中国の報復で欧州供給網に緊張拡大


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