
新築団地で地下車庫に巨大亀裂 住民の間で不安拡大
河北省張家口市の新築住宅団地「栄盛城」A5区で11月4日、住民が地下駐車場の壁面に巨大な亀裂と大穴が生じている状況を動画で公開した。動画には壁、床、柱に複数の亀裂が走る様子が映り、投稿者は「補修してもまた裂ける。倒壊が怖くて住めない」と訴えた。中国メディアの瀟湘晨報や香港メディアの報道でも注目を集め、SNSでは安全性への懸念が一気に広がった。
当局は「充填壁の破損」と説明 主構造とは無関係と強調
11月5日、瀟湘晨報が開発会社に取材したが、担当者は「公表はできない」と回答を避けた。一方、団地の所在地である張家口市万全区住建局は現場調査の結果、亀裂と大穴のある部分は鉄筋もコンクリートも入っていない「充填壁」で、耐力を担わない非構造壁だと説明した。
施工側は落下を防ぐため、亀裂部分の撤去作業を進めており、その過程で壁面に大穴が生じたという。当該棟は新築で全28戸中10戸が入居済みで、柱(主構造)にも小規模な亀裂があると認めた。第三者機関が安全性鑑定を始めており、結果は数日以内に公表される見通しだ。
中国各地で建物損壊事故が頻発 地盤や施工品質への懸念が高まる
中国では近年、住宅地での構造変状が続発している。江蘇省丹陽市では11月1日夜、住宅団地「台陽小区」38号棟で基礎の沈下が起き、外壁に大きな亀裂が走り、住民が全員避難した(→関連:
江蘇・丹陽市の住宅団地で建物沈下)。
深セン市でも地盤沈下による建物損壊が相次ぎ、
25棟閉鎖・783人避難、
天津市では
地盤の隆起と沈下で3899人が避難、
広西チワン族自治区では
5階建て住宅が突然傾斜し住民避難
といった事例が続いている。
さらに深センでは、
高層住宅の傾斜 や
市街地ビルの傾斜事故
も報告されており、軟弱地盤や施工不良が原因とみられる事案が全国的に注目を集めている。
住宅品質管理の「制度疲労」も露呈 専門家は再発防止策を提言
専門家は今回の張家口の事案について「充填壁の破損であっても、新築物件で広範囲に亀裂が生じること自体が施工管理の甘さを示す」と指摘する。また、各地で地盤沈下や傾斜事故が相次ぐ背景には、地質調査の不備、地下施工の急増、コスト削減圧力など複合的な問題があるとの見方がある。
中国の都市部では建設ラッシュが続いた結果、施工品質のばらつきが顕著になり、当局の監督体制も追いつかなくなっている。SNS上では「豆腐渣工程」を疑う声が広がり、新築住宅への信頼低下が加速している。
張家口の鑑定結果が試金石に 全国で注目される建物の安全性
張家口市の「栄盛城」A5区の鑑定結果は、今後の類似事案の判断基準として注目されている。主構造に深刻な損傷が確認されれば、住民の退避や大規模修繕が必要になる可能性もある。中国全土で建物の安全確認を求める声が強まる中、住宅品質管理の制度見直しが迫られている。
[出典]
・香港《星島頭条》
https://www.stheadline.com/realtime-china/3515054/
・瀟湘晨報
https://news.qq.com/rain/a/20251105A02STP00?utm_source=chatgpt.com
[関連情報(内部リンク)]
・江蘇・丹陽市の住宅団地で建物沈下
https://www.alertchina.com/post-33438/
・深センで地盤沈下、25棟閉鎖・783人避難
https://www.alertchina.com/38787839-2/
・天津で地盤隆起と沈下、3899人避難
https://www.alertchina.com/32498606-2/
・広西で5階建て住宅が傾斜し住民退避
https://www.alertchina.com/38144336-2/
・深セン・羅湖でビル傾斜が発生
https://www.alertchina.com/19646920-2/

