
ミャンマー北部コーカンの特殊詐欺拠点に死刑判決
ミャンマー北部のコーカン地域で特殊詐欺や違法カジノを展開してきた白家犯罪集団に対し、広東省深セン市中級人民法院は11月4日、一審で白所成、白応蒼、楊立強、胡小姜、陳広益の5被告に死刑、李福寿と李志徳の2被告に執行猶予付き死刑を言い渡した。他に郭建政、潘憲が無期懲役、李龍華ら9人が懲役3〜20年。罰金や財産没収、国外追放などの付加刑も科した。
(出典:RFI)
https://www.rfi.fr/cn/中国/20251104-中国判处7名在缅甸运营电诈园区的团伙成员死刑-其中两人缓期
白家犯罪集団の武装支配と特殊詐欺の実態
白家犯罪集団は、百勝賓館や騰龍1号楼、蒼勝科技園など41の詐欺拠点を建設し、武装勢力を背景にコーカンで広範な特殊詐欺事業を支配した。白家は金主(出資者)に場所と武装保護を提供し、その見返りとして詐欺利益の一部を吸い上げていた。詐欺・賭博関連資金は人民元290億元に達し、中国人6人が死亡、1人が自殺、多数が負傷した。
覚醒剤「メタンフェタミン」約11トンの製造・販売も行われており、麻薬・賭博・特殊詐欺を組み合わせたコーカン独自の犯罪経済圏を形成していた。
(参考:聯合報、中國時報)
h3 ミャンマー・コーカン四大家族と“自治領化”した犯罪構造
ミャンマー北部のコーカン地区は長年、白家、魏家、劉国璽家、劉正祥家の「四大家族」が政治・経済・軍事を掌握してきた。白家は私設武装を有する最大勢力で、詐欺園区の多くを直接支配していた。今回の死刑判決は、四大家族の中心勢力に対する最大規模の司法措置となる。
AlertChinaでは、ミャンマー北部の犯罪組織に関する詳細な分析を行っている。
- [ミャンマー北部で中国系マフィアを一斉摘発](https://www.alertchina.com/post-33260/)
- [明家11人に死刑判決](https://www.alertchina.com/post-33041/)
ミャンマー治安空白と中国の域外処罰 特殊詐欺との戦い
コーカンはミャンマー軍政の統治が及ばない“治安空白地帯”であり、特殊詐欺や麻薬取引の温床となってきた。被害者も加害者も多くが中国人であることから、中国はミャンマー側との合同摘発体制を構築し、域外適用を理由に死刑を含む厳罰を科している。
2023年以降、中国は特殊詐欺の大規模摘発を進め、5万7000人を拘束した。タイから送還された詐欺団200人のケース(AlertChina[護送の特殊詐欺団200人](https://www.alertchina.com/37970642-2/))など、東南アジア全域で国際的な摘発が進む。国際金融犯罪に関する制裁(例:[太子集団への英米制裁](https://www.alertchina.com/post-33245/))も活発化し、地域全体での対応が急務となっている。
死刑判決が示すコーカン問題の深層
今回の死刑判決は、単なる詐欺組織摘発ではなく、ミャンマー北部・コーカンに広がる越境犯罪網に対して中国が司法的関与を強めていることを示す。詐欺や賭博、覚醒剤取引を結びつけた犯罪経済圏をどう切断するかは、今後の国際治安協力における重要課題であり、コーカン問題は長期的な地域不安定化要因として残り続ける。
[出典]
RFI/聯合報/中國時報

