日中共同世論調査の発表延期 高市首相と台湾代表会談が引き金か 中国の強硬姿勢と日中関係の行方

日中共同世論調査の発表が中国側の要請で延期

 日中共同世論調査の発表が中国側の要請で延期 背景に高市早苗・林信義会談

日本と中国が毎年実施する「日中共同世論調査」について、中国側が11月1日深夜、11月4日に予定されていた結果発表の延期を一方的に通知した。言論NPOによれば、中国は「関係責任者が公務で出席できない」と説明したが、日本政府関係者や台湾メディアは、韓国開催のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で高市早苗首相が台湾の領袖代表・林信義と会談したことへの不満が背景にあるとみている。

この調査は言論NPOと中国国際伝播集団が共同で実施し、著作権も双方に帰属するため、日本側は単独での発表ができず、現在は11月17日への延期を協議中である。中止となれば2005年の調査開始以来で初めてのケースになる。

外部リンク:

中国の強い反発 「一つの中国」原則違反と抗議

中国外交部は、高市早苗首相と林信義の会談は「一つの中国」原則への重大な違反だと強く非難し、日本側に抗議した。一方、高市は会談後にXへ写真を投稿し、「11月1日、台湾を代表してAPECに参加している林信義氏と会談した。日台の実務協力が深化することを期待する」と記した。

台湾外交部は、中国には他国の主権的行為に干渉する権利はなく、台湾はAPECの正式メンバーであると反論した。中国の主張はAPECが掲げる平等参加原則に反すると批判した。

内部リンク(関連解説):
APECで高市首相が台湾代表と会談 中国が「一つの中国」原則違反と抗議
https://www.alertchina.com/post-33434/

世論調査が示す深刻な冷え込み 双方9割前後が相手国に否定的

2024年の調査では、

  • 日本に悪い印象を持つ中国人は87.7%
  • 中国に悪い印象を持つ日本人は89%

という結果になり、双方の国民感情は依然として冷え込んだままだ。中国が今回、会談直後のタイミングで発表延期に踏み切ったのは、高市政権への牽制に加え、台湾問題をめぐる強い警戒心を示したものといえる。

香港メディアは、中国が調査発表の延期を事実上の「下馬威」として利用し、高市の“越線行為”への応報だと伝えている。

日中関係の行方 政治対立と国民感情の乖離が拡大

今回の延期措置は、日中関係の緊張が再び強まっていることを象徴している。中国側は高市早苗を対中強硬派とみなし、政権基盤の弱さを前提に圧力を強める姿勢を示した。台湾と日本の接近が加速することへの警戒は強く、今後も国際会議の場で台湾問題が火種となる可能性が高い。

言論NPOは、調査発表の中止は「日中相互理解の重要な接点を失う」と懸念しており、国民感情の冷え込みと外交対立が相互に悪循環を招く恐れがある。経済・安全保障・外交の各分野で日中関係の揺らぎが広がる可能性が指摘されている。


[出典]

[関連情報]

https://www.alertchina.com/post-33434/


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