江蘇・丹陽市の住宅団地で建物沈下 外壁に亀裂、全住民が避難

丹陽市台陽小区で38号棟が沈下 住民は全員避難

江蘇省丹陽市の住宅団地「台陽小区」で11月1日夜、38号棟の基礎が突然沈下し、外壁に大きな亀裂が生じた。沈下は午後11時ごろ発生し、丹陽市住宅都市農村建設局は原因を調査中としている。
同局によれば、住民は全員避難し、負傷者は確認されていない。現場には地元政府、緊急管理、住建、公安、消防、衛生健康など複数部門が出動し、建物周辺には隔離区域が設置された。

映像では、外壁の一部が大きくゆがみ、内部のれんがが露出している様子が映っている。周辺の商店主は、台陽小区が20~30年の歴史を持つ古い住宅地であることを指摘し、老朽化が進んでいた可能性を語った。

住民の仮安置は現在も進められており、社区(コミュニティ)当局が避難者との調整作業を続けている。丹陽市住建局は建物の今後の扱いについて、専門家の鑑定結果を待って対応するとしている。


 深セン・天津などで確認された建物変状の事例

今回の丹陽市での沈下とは別に、最近の中国では建造物の変状が発生したケースが複数報告されている。

今年6月、広東省深セン市では住宅団地で地盤沈下が生じ、25棟が閉鎖、住民783人が避難する事態となった。建物には広い範囲で亀裂が確認され、安全確保のため長期的な立ち入り規制が続けられた。
→[深セン・地盤沈下で建物に亀裂](https://www.alertchina.com/38787839-2/)

また2024年6月、天津市津南区八里台では地盤の隆起と沈下が同時に発生し、地下駐車場の亀裂・漏水が拡大、3899人が避難した。住宅地全体で複数の構造変状が確認され、自治体は大規模な調査を実施している。
→[天津・住宅団地で地盤隆起や沈下](https://www.alertchina.com/32498606-2/)

広西自治区でも5階建て住宅が突然傾斜し、住民が緊急退避した事例がある。基礎部分の支持力低下が疑われ、復旧作業が続いた。
→[広西・5階建て建物が傾斜](https://www.alertchina.com/38144336-2/)

これらの例はいずれも局所的な現象であり、「全国的に多発している」といった評価には当たらないが、地方都市を中心に建物の老朽化や地盤変動が背景にあるケースが目立つ。


老朽住宅団地が抱える構造リスクとは何か

台陽小区のように1990年代以降に建設された住宅団地は、その多くが大規模開発を急いだ時期に建てられた。
当時の施工基準は現行より緩く、地盤改良技術も今ほど高度ではなかった。

主なリスク要因として考えられるのは以下のとおりである。

  • 基礎地盤の不均質による荷重の偏り
  • 地下水位の変動
  • 給排水漏れによる土壌の緩み
  • 長期使用による構造材の劣化
  • 地域全体の建築ラッシュによる土圧バランスの変化

丹陽市の沈下も、こうした複合要因のいずれかが影響している可能性がある。


h3 都市部で求められる地盤監視と更新施策

今後の都市安全政策の焦点となるのは、

  • 既存住宅団地の包括的な点検
  • 地盤状態の常時監視
  • 老朽建物の更新・補強計画
  • 地下水管理の厳格化
  • 大規模開発時の地盤審査の強化

などである。丹陽市のように人的被害が発生しなかった事例でも、建物変状が住民生活に大きな影響を与えることは明らかであり、早期の予防策が重要となる。


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