長沙で改装中店舗の外壁崩落 通行中の若い女性2人死亡 老朽建物の安全管理に課題

潮宗街で外壁と足場が崩落 若者2人死亡の惨事に

湖南省長沙市開福区の歴史街区「潮宗街」で10月31日夜、通りに面した2階建て店舗の外壁と仮設の棚(足場)が突然崩落した。歩行中の男女4人が瓦礫の下敷きとなり、このうち19歳の女子大学生と24歳の社会人女性が死亡した。いずれも25歳未満の若者で、残る2人も負傷した。

地元の応急管理局によると、事故は午後8時ごろに発生。警察・消防・救急が出動し、全員を救出して病院に搬送した。現在、事故原因の調査と現場の安全確認が進められている。
詳報は[紅網(Rednet.cn)公式報道](https://hn.rednet.cn/content/646954/75/15398441.html?utm_source=chatgpt.com)でも確認できる。


改装工事中の安全軽視 近隣から事前に苦情

周辺の商店主らは、中国メディアの取材に対し「事故の3日前からこの店舗が改装工事を行っていた」と証言している。ドリルで壁に穴を開けた際に鉄筋が露出し、粉じんや騒音が激しく、複数の住民が安全上の問題を訴えていたという。
現場の写真には、外壁に「賃貸(招租)」と書かれた白布が掲げられ、歩道にプラスチック製の囲いが設置されていたことが確認できる。

この経緯は[星島頭條報道](https://www.stheadline.com/realtime-china/3513852/%E9%95%B7%E6%B2%99%E6%BD%AE%E5%AE%97%E8%A1%97%E5%86%A7%E7%89%86-4%E5%90%8D00%E5%BE%8C%E8%A2%AB%E5%9F%8B%E7%93%A6%E7%A4%AB2%E5%A5%B3%E7%BD%B9%E9%9B%A3)および[on.cc東網](https://hk.on.cc/hk/bkn/cnt/news/20251102/bkn-20251102200015410-1102_00822_001.html)の現地報道でも詳述されている。


老朽化した街区と再開発政策の狭間で

潮宗街は、長沙の旧市街に位置する歴史文化街区で、現存する4本の麻石(花崗岩)道路のひとつ。2013年に市の第2歴史文化街区に指定された。近年、政府は「有機更新」と呼ばれる再開発政策を推進し、老朽建築を改装して観光・商業エリアとして再生している。

しかし、今回の事故は、その再開発過程における「安全管理の盲点」を浮き彫りにした。急速な都市再生の裏で、施工基準の遵守や現場監督の実効性が問われている。長沙市はこのほかにも、観光地の再整備や老舗建築の商業利用を進めており、文化保存と安全性のバランスが課題となっている。


中国各地で相次ぐ構造物崩落事故

同様の事故は中国各地でも発生している。
江蘇省連雲港ではホテルの屋根が崩落し、宴会中の4人が負傷した(AlertChina報道)。四川省ではイベント会場で大型テントが倒壊し、2人が死亡、3人が重傷を負った(同サイト)。また、上海の七宝鎮では5店舗の看板が連続して崩落するトラブルも起きている(同・関連記事)。


都市再生と安全管理の両立が急務に

潮宗街での事故は、再開発と文化保護のはざまで揺れる都市政策の象徴でもある。長沙市は今後、歴史街区の「有機更新」を進めつつ、老朽建物の耐久性や施工安全に対する監督体制を強化する方針を示している。市民の安全と文化資産の保存を両立させることが、都市ブランドの信頼を維持する鍵となる。


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