
江門市、チクングニア熱沈静化を受け「22条禁止令」発表
広東省江門市は10月21日、チクングニア熱(基孔肯雅熱)の感染状況が低水準の散発段階に入り、抑制目標を達成したと発表した。市政府は同時に、「防止と是正に関する注意喚起文書」を公布し、過剰防疫を是正する22項目の禁止令を明示した。
この通達は、防疫現場での行き過ぎた対応に対する市民の不満を受けたもので、行政の透明性と市民との信頼回復を狙う。市当局は「防疫の目的は市民の安全を守ることであり、強権的な措置は信頼を損なう」と強調した。
チクングニア熱防疫で住民の鍵提出や住宅侵入が問題化
江門市では10月中旬以降、蚊の駆除をめぐる混乱が相次いだ。職員が住民に鍵の提出を求めて立ち入り消毒を行ったり、同意を得ずに住宅へ侵入し観葉植物を撤去したりする事例が発覚。「蚊の温床になる」として老朽住宅を強制的に取り壊すほか、営業中の市場で殺虫剤を散布するなど、生活環境を脅かす対応が続いた。
浪潮新聞や星島頭條など複数メディアによると、こうした行為はSNS上で批判を呼び、市民の反発が高まった。市政府は複数の部門に再発防止を指示し、手続きの厳格化と権限の明確化を求めた。
(出典:観察者網、星島頭條)
チクングニア熱防疫で22項目を明文化 「不法侵入・私有物処分を禁止」
公布された禁止令は、現場職員や防疫組織の行動規範として策定された。主な禁止項目は以下のとおり。
- 住民の自宅や車庫など私有空間への不法侵入
- 個人が所有する植物や水をためた容器などの無断処分
- 営業中の市場での殺虫作業
- 防疫を名目にした企業経営への干渉
- 一律的な高頻度消毒の強制
市政府はこれらを「行政秩序と民生の調和を図る基本方針」と位置づけ、科学的で持続可能なチクングニア熱防疫を推進する姿勢を示した。
チクングニア熱は沈静化 法に基づく防疫体制の再構築へ
江門市によると、新規感染者は1日あたり約50人に減少し、感染状況は安定している。市当局は法に基づく防疫管理と市民生活の両立を目指し、作業手順の標準化と情報公開を徹底する方針だ。
「22条禁止令」は一時的な是正策ではなく、長期的な制度改善の起点と位置づけられている。市政府関係者は「チクングニア熱防疫で生じた過剰対応を見直し、社会的信頼を回復する」と述べた。
周辺都市にも波及する「過剰防疫」是正の動き
江門市周辺の広東省各地でも、同様の見直しが進みつつある。広州や仏山などの都市も住民の苦情を受け、防疫と日常生活のバランスを取る施策を検討中だ。
(出典:Sing Tao Canada)
広東省全体では依然として警戒レベルを維持しており、地方政府間の情報共有や監督強化が進む見通しだ。中国当局は今後、「過剰防疫の抑制と感染再拡大の防止」という二重の課題に直面することになる。
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[出典]
観察者網(Guancha)
星島頭條(Sing Tao Headline)
星島日報カナダ版(Sing Tao Canada)

