中国共産党「四中全会」、第15次五カ年計画を採択 科技自立と内需拡大を柱に構造転換へ

科技自立を軸に国家戦略を再構築

中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議(四中全会)は、2026〜2030年を対象とする「第15次五カ年計画(十五五)」の提案を採択し、10月23日に閉幕した。
公報は今後5年間を「戦略的機会とリスク・挑戦が並存する時期」と位置づけ、科学技術の自立強化と高品質な発展を最優先課題に掲げた。
計画案は「高水準の科技自立自強を加速させ、新たな科学技術革命と産業変革の歴史的機会をつかむ」と明記。**製造業・宇宙・交通・ネットワークの『強国建設』**を推進し、原始的イノベーション(基礎研究)と核心技術のボトルネック解消を重視した。AIと産業の融合による新たな生産力の創出も明確に位置づけられた。


米国の封鎖に対抗 科学技術で主導権を奪還

フランス国際放送(RFI)は、四中全会の決定を「米国との覇権競争をにらんだ明確な対抗シグナル」と位置づけた。
公報は「高品質な発展を実現し、2035年までに一人当たりGDPを中等先進国水準(約2万5000ドル)に引き上げる」との長期目標を掲げた。
清華大学の董煜副院長は「制度的優位性、超大規模市場、完備した産業体系、豊富な人材資源が中国の“底力”だ」と述べ、最悪を想定した「底線思考」に基づく戦略強化を指摘した。
北京大学の沈鴻研究員も「科学技術水準が米国と並べば、安全保障が強化され、対立から協調的競争へ転じる可能性がある」と分析した。


内需拡大と消費刺激で構造転換へ

経済日報によると、十五五計画は「強大な国内市場の構築」「社会主義市場経済体制の高度化」「共同富裕の推進」を柱とした。
これまでの投資・輸出依存型成長から内需主導型の持続的モデルへの転換を目指し、社会保障と所得再分配の強化による消費刺激を進める。
シンガポール国立大学の顧清揚副教授は「AI主導の産業再編と社会保障拡充で、米国の圧力だけでなく不動産依存構造も打破する」と述べた。外需に頼らず、**“自給自足型の内循環経済”**を確立する必要があると指摘する。


安全保障と統一政策も柱に

公報は「国防と軍隊の現代化を高品質に推進し、国家安全保障の防壁をさらに強化する」と明記した。軍高官の粛清が続く中でも「戦略的定力と闘争意志の保持」を強調した。
台湾政策では「両岸関係の平和的発展と祖国統一の推進」を示し、金門地域を含む経済統合への言及が注目されている。台湾政府は「金門の主権は中華民国に属する」と即座に反発した。


分析:量から質へ、依存から自立へ

今回の四中全会は、経済成長率の目標よりも発展の質を重視し、外的制約を克服する“自立型国家モデル”への転換を鮮明にした。
科学技術・内需・安全保障を一体化した構想は、米国の封鎖を突破し、国際秩序の中で持続的な競争力を確立する中長期戦略である。
2035年を見据え、中国は「技術主権」と「経済自立」を両輪とする体制再構築に踏み出した。


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