香港でチクングニア熱による初の死亡例 中国に渡航歴 中国で2000人超感染も死者の情報なし  

香港で初のチクングニア熱死亡例確認

香港衛生署の衛生防護センターは10月22日、慢性疾患を持つ77歳の男性がチクングニア熱(基孔肯雅熱)による多臓器不全で死亡したと発表した。男性は中国本土から帰港後に発熱や関節痛、皮疹を発症し、私立病院で治療を受けたが、症状が悪化して律敦治病院の集中治療室に転送された後、死亡が確認された。香港では今年42件の確定感染が報告され、すべて輸入症例である。今回の事例は中国で7月に流行が始まって以降、香港で初めての死亡例となった。


重症化リスクと衛生当局の警告

衛生防護センターは、チクングニア熱による重症化や死亡は極めてまれで、致死率は0.1%未満と説明した。ただし高齢者や乳幼児、妊婦、慢性疾患を持つ人は合併症を起こす危険が高く、回復にも時間を要するという。センターは高リスク層の市民に対し、感染流行地域を訪れた後に発熱や関節痛、発疹が現れた場合は速やかに医療機関を受診するよう求めた。


世界的な感染拡大と中国本土の動向

世界保健機関によると、2025年初めから9月末までに世界40の国・地域で44万5271件の感染と155件の死亡が報告されている。流行はアメリカ大陸、アフリカ、アジア、ヨーロッパに広がり、世界的な感染拡大が続いている。
中国では7月に広東省仏山市で最初の感染が確認されて以降、江門市や深セン市などで拡大が続く。広東省疾病予防管理局の統計によると、10月12日から18日までの1週間で本土感染2086件(無症状を含む)が報告されたが、重症や死亡例はない。
感染状況の詳細は「広東省、チクングニア熱流行が鈍化 江門で新規46例に減少 仏山・深センで再拡大も」でも確認できる。


香港政府の防蚊・監視体制の強化

香港政府は感染拡大防止に向け、**食物環境衛生署(FEHD)**による防蚊対策を強化した。感染者の居住地や発症後に訪れた場所を中心に、半径250メートル以内の樹木の多い区域で集中噴霧処理を行い、成虫の蚊を駆除している。さらに巡回によるたまり水の除去、殺虫剤の散布、放棄容器の撤去などを継続実施する。市民啓発として健康講座や移動教育センターを設置し、防蚊意識の浸透を図っている。
また港口衛生科は、空港・港湾・国境検問所での監視体制を強化し、旅行者への体温スクリーニングや健康評価を実施している。詳細は「広東省でチクングニア熱急拡大 感染者の8割が江門市に集中」も参照されたい。


市民への呼びかけと予防の徹底

当局は市民に対し、チクングニア熱を含む蚊媒介感染症の拡散防止のため、家庭や周辺環境での防蚊対策を徹底するよう呼びかけている。花瓶の水は週1回以上交換し、排水溝や屋外のくぼみは清掃・整地して水の滞留を防ぐ。防虫剤はディート(DEET)やピカリジンを有効成分とする製品を推奨し、妊婦は濃度30%以下、子どもは10%以下を使用するよう指導している。
市民は蚊の大量発生を見つけた場合、1823番への通報が推奨されている。感染動向の詳細は「広東省江門、チクングニア熱が急拡大 国慶節前の封じ込めへ総力戦」に掲載されている。


[出典]
香港特別行政区政府 衛生署 衛生防護センター公式発表
中央通信社 報道全文
客家新聞 記事全文

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