
発生と初動対応
山東省浜州市の浜州職業学院で14日以降、学生多数が嘔吐や下痢を訴えた。17日までに延べ413人が医療機関を受診し17人が入院した。いずれも軽症とされる。浜州市の合同作業チームは患者の便や肛門ぬぐい液からノロウイルス陽性を確認し、感染拡大の抑制に当たっている。学校側は発症直後から学生を病院へ搬送し、疾病予防管理当局が現場で疫学調査とサンプル採取を実施した。
浜州市は教育、衛生健康、食品監督などの部門を横断する合同チームを設け、省市の専門家が現地で指導に入った。感染源の特定や給食施設の衛生検査、校舎内の重点消毒を進め、校内防疫体制の見直しを急ぐ。学生への健康教育と手洗い指導も徹底されている。
学生寮で拡大、トイレ行列も発生
感染は寮を中心に広がり、ある学生寮では6人中5人が発症したという。共同トイレが混雑し、下痢の症状を訴える学生が長い列を作った。別の学生によると、クラス40人のうち約20人が感染。発熱や嘔吐を伴う例もあった。学内の学生サービスセンターは一時営業を停止し、従業員1人も入院した。学校は全学生への一斉検査をまだ実施していないが、消毒液や整腸薬を配布して応急対応を取っている。
原因調査と衛生対策
合同作業チームは水道水や飲料水のサンプル検査を実施し、現時点では異常は確認されていない。食堂や売店で提供された食品、調理器具の洗浄状況、厨房従業員の健康状態についても検査が進められている。専門家は、集団感染の原因が食材や飲料水の汚染による可能性もあるとみている。
ノロウイルスは感染力が強く、少量のウイルスでも発症する。秋から冬にかけて多発する傾向があり、手洗いや食器の消毒など基本的な衛生管理が予防の鍵となる。中国では2025年に入り、学校・工場・病院などで同様の集団感染が相次いでいる。
当局の対応と広域警戒
浜州市当局は校内の感染拡大を防ぐため、校舎や食堂などの重点区域で再消毒を実施している。全学生の健康状態をモニタリングし、症状が出た場合はすぐに隔離と治療を行う方針だ。教育部門と衛生当局は、他の学校に対しても給食・飲料水の衛生管理徹底を通達した。
同省では過去にも複数の教育機関で類似の事例が発生しており、感染経路が食堂や水道を介して広がるケースが多い。感染者の迅速な報告体制や校内防疫マニュアルの整備が課題となっている。
背景:全国で広がるノロウイルス
ノロウイルス感染は近年、中国各地で再び増加傾向にある。10月には遼寧省瀋陽師範大学で2000人超が感染し、水源の井戸水からウイルスが検出された。山東省内でも今月初め、中学生74人が集団感染し10人が入院している。専門家は「感染が広域化する傾向にあり、地方都市の衛生インフラ改善が急務」と指摘する。
浜州市の教育部門は「学生の健康を最優先に、全寮制学校の衛生監督を強化する」と述べた。感染の終息時期は未定で、当局は引き続き状況を監視している。
出典リンク(External links)
- 新華社通信:山東省浜州職業学院ノロウイルス感染報告
- 東方日報:濱州職業學院集體食物中毒 413人染諾如病毒
- 香港01:山東職校逾400人感染 學生:半數同學腹瀉需排隊如廁
- 星島頭條:山東高校超400學生嘔吐腹瀉 17人留院治療