中国共産党「四中全会」開幕 科技自立と消費刺激を柱に経済再構築へ を模索

四中全会、北京で開幕 「十五五」計画で新方針を協議

中国共産党は10月20日、北京で第20期中央委員会第4回全体会議(四中全会)を開き、2026〜2030年を対象とする第15次五カ年計画(十五五)を審議した。会期は4日間で、党中央政治局が活動報告を行い、今後5年間の経済・社会政策の基本方針を協議する。


この会議には約370名の中央委員が出席し、習近平総書記を中心に経済成長戦略と技術政策、さらには一部人事調整も議題に含まれる見通しだ。最終的な計画文書は2026年3月の全国人民代表大会で正式に公表される予定である。


科技自立を加速 半導体・AI・量子分野に重点

四中全会の最大の柱は「科技自立」。米国の関税強化と輸出規制が続くなか、中国は半導体やAI(人工知能)、量子技術など戦略産業の国産化を急ぐ。


スイスのUBSの張寧シニアエコノミストは「中国は技術的自給自足を進めるため、高度技術分野への投資を一段と拡大する」と分析する。


政府は国家主導で研究開発支出を増やし、製造業の知能化やデジタル転換を推進。これにより、外部依存を減らし、内製型の産業構造を確立する方針だ。
一方で、過剰生産能力による競争激化も課題で、自動車など主要産業で価格競争が続いている。


消費刺激で内需拡大 不動産不況克服が焦点

政府は科技と並ぶ柱として「消費刺激」を掲げる。保育支援の拡充、家電・電気自動車の買い替え補助、住宅市場安定策など、内需喚起に向けた漸進的な政策を導入中だ。


キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、リア・ファヒ氏は「政府はより大胆な措置をとる必要がある」と指摘する。


若年層(16〜24歳)の失業率は約19%に上昇し、不動産価格の下落が家計支出を圧迫。インディアナ大学のルイ・リーユン副教授は「医療、教育、保育、高齢者ケアなど生活分野での公共投資不足が消費回復を阻んでいる」と述べた。


内需拡大は中長期的な経済安定の鍵とされ、政府は社会保障充実による消費心理の回復を狙う。


成長鈍化下でも「レジリエンス」と「安全性」を重視

世界銀行は中国の2025年の成長率を4.8%と予測。第2四半期の5.2%から減速が見込まれるが、政府は年平均4.5%の成長維持を掲げている。
野村證券は報告書で、「十五五」計画では明確なGDP数値目標を設けず、「レジリエンス」と「安全性」を重視すると分析する。
光明日報も「2035年までに1人当たりGDPを3万ドルに引き上げるには、年平均4.5%以上の成長が必要」と報じた。
習近平政権は成長率よりも構造転換と安定維持を優先し、長期的な社会安定と統治の正当性確保を狙う。


政策一貫性と党統治の正当性が焦点

米中対立が再燃する中、四中全会は経済と政治の両立を探る試金石となる。トランプ政権が輸出規制を強化するなかで、習近平とトランプ両首脳は今月末にも会談する可能性が報じられている。


国営紙『人民日報』は国慶節期間に連日社説を掲載し、「中国経済は吹き飛ばせず、押し潰せず、打ち破れない」と強調。


こうした論調は、国民に経済の安定を訴えると同時に、共産党統治の正当性を再確認する狙いがある。
張寧氏は「中国指導部が最も重視するのは、安定・合法性・持続的支持だ」と述べ、政府は科技革新と消費拡大の両輪で社会信頼を維持しようとしている。


[外部リンク]
聯合報:四中全会 聚焦科技创新与消费刺激
聯合報:分析师预估年均4.5%增长目标
德国之声:科技自立vs.刺激消费
星島頭條:四中今開幕 審議十五五 計画焦点は科技創新

[内部リンク]
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