
米トランプ大統領が10日、中国がレアアース関連技術の輸出を強化管理したことに反発し、11月1日から中国製品に100%の追加関税を課す方針を明らかにした。中国への「重要ソフトウェア」輸出制限も検討しており、世界経済の不確実性が再び高まっている。
トランプ氏はSNSで「中国は世界を人質に取っている」と非難し、習近平国家主席との会談を見送る可能性にも言及した。しかし米財務長官スコット・ベッセント氏は「週末に両国が集中的な協議を行い、緊張は大きく緩和した」と述べ、韓国・慶州で11月に予定される「特習会(トランプ・習会談)」は計画通り実施される見通しを示した。
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中国「責任ある大国」と主張 米国を「二重基準」と批判
中国商務部は12日、「米国の行動は典型的な二重基準だ」と強く反発。「高関税による脅迫は健全な関係を築く道ではない。中国は貿易戦争を望まないが、恐れもしない」と表明した。
商務部は、10月9日に発表したレアアース関連輸出管理措置について「法に基づく適正な行為であり、軍事分野での拡散防止と国際的安全保障のため」と説明した。
さらに「米国は国家安全保障を口実に輸出管理を乱用し、半導体装置やチップ分野で中国企業を差別的に扱っている」と批判。米国の輸出管理リストは3,000項目を超えるが、中国は900項目余りにとどまるとし、「米国の一方的行動は国際経済秩序を破壊し、世界の供給網を脅かしている」と警告した。
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米国は「戦略資源への報復」 市場は混乱
トランプ政権の100%関税発表を受け、ウォール街のハイテク株が下落。中国のレアアース加工に依存する企業やEV部品メーカーが打撃を受けた。
米中両国は今年4月にも一時的に100%超の関税をかけ合っており、今回の「第2次関税戦」は世界貿易体制への信頼を揺るがしている。
レアアースは電気自動車(EV)や半導体、ミサイル制御装置などに不可欠な素材で、中国が世界供給の約7割を握る。専門家の間では「資源を外交カードとする中国の姿勢が、米国の対中経済戦略をさらに強硬化させる」との見方が出ている。
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中国の報復措置 米船舶に港湾使用料
中国交通運輸部は14日から、中国港湾に寄港する米国船舶に港湾使用料を課すと発表。米国が中国船舶に同様の措置を取っていることへの報復とみられる。
米国側の規定はバイデン政権時代の競争調査に基づくもので、中国側も対抗姿勢を明確にした。
一方、J.D.バンス副大統領は「中国が攻撃的に出れば、米国の方が多くのカードを握っている」と述べ、「理性的な対応を取ればトランプ氏は常に交渉に前向きだ」と語った。今後の展開は中国の出方に左右される見通しだ。
レアアース2.0時代 経済と安全保障が交錯
今回の摩擦は、単なる関税問題にとどまらず、戦略物資・技術・ソフトウェア・AI分野を巻き込む包括的な衝突に発展しつつある。
中国は供給網の優位性を背景に圧力を強め、米国は同盟国と連携して依存度低減を急ぐ構えだ。
「米中貿易戦 レアアース 関税」をめぐる攻防は、経済安全保障の新たな時代を象徴している。
出典
- 中央通訊社(CNA)「美中贸易战因稀土升级后趋缓 特习会仍在计划中」
- Deutsche Welle(DW)「美中贸易战因稀土升级后趋缓 特习会仍在计划中」
- 星島頭條「關稅戰2.0|美國擬對華加100%關稅 商務部回應:典型雙重標準」
- 星島頭條「關稅戰2.0|特朗普11月1日起向中國額外加徵100%關稅 稱無理由見習近平」