上海で呼吸器合胞体ウイルス感染が急拡大 小児科外来に行列、家族全員感染の例も

呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染、上海で急拡大

上海では秋の訪れとともに、子どもの呼吸器感染症が急増している。
特に呼吸器合胞体ウイルス(RSV)*感染が主流となり、複数の病院で救急外来が混雑。
ICU(集中治療室)で治療を受ける重症児も確認されている。
一部の保護者は「**病危通知書(危篤通知)**に署名を求められた」と話しており、
医療現場の緊張感は高まっている。


小児科に長い行列、RSV陽性率が首位に

中国メディア《紅星新聞》と《新聞坊》の報道によると、
上海市児童病院では10月上旬、発熱や咳、喘鳴(ぜんめい)などで受診する児童が
9月末に比べ約30%増加
病原体検出の結果、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)が陽性率首位を占めた。

10月8日午前、同院の救急外来・内科・呼吸器科には長い行列ができ、
保護者の腕に抱かれた乳幼児が診察を待つ姿が見られた。
治療室では、点滴針を付けたまま吸入治療を受ける5歳未満児が多数を占める。


家族全員が感染するケースも 家庭内感染が急増

医師によると、感染者の家庭では祖母や母親など大人も感染する事例が多く、
家族内での二次感染が拡大している。
上海市児童病院・急診科の黄玉娟主任はこう警告する。

「呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は5歳未満の肺炎の主な病原体です。
二人目の子どもがいる家庭などでは感染が広がりやすく、
救急外来は以前の約2倍に増えています。
咳や喘鳴がある場合は、早めに受診してください。」

RSVは飛沫密接接触で感染するため、
年長の兄姉や祖父母も流行期には個人防護を徹底する必要がある。


軽症は自然治癒も、乳幼児は重症化リスク

呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染は自己限局性疾患であり、
軽症の場合は1~2週間で自然回復する。
しかし、生後6カ月未満の乳児や早産児、先天性心疾患を持つ子どもは
中~重度の肺炎や細気管支炎に進行するリスクがある。
その場合、通常の治療に加え酸素吸入や集中治療が必要となる。


インフルエンザ流行も早期化、予防接種を呼びかけ

上海市児童病院は、秋冬に流行が重なるインフルエンザにも注意を促す。
9月の臨床監視ではすでに散発的な感染が確認され、
例年よりも早い発生ペースとなっている。
基礎疾患を持つ子どもや熱性けいれんを起こしやすい子どもは、
早期のワクチン接種が推奨されている。


予防抗体注射「RSV単抗」対象を拡大 アリペイでも予約可能

上海市では、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染を抑えるため
予防抗体注射(RSV単抗)の利用を拡大している。
昨年の7病院に加え、今年は36の医療機関
が新たに試験運用対象に指定された。
公立・私立・地域医療センターに加え、
**支付宝(アリペイ)上の「RSV防護一站通」**からも予約・接種が可能だ。


流行期は例年より早い 早めの予防が鍵

中国疾病予防管理センター(CDC)によれば、
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の典型的流行期は例年10月〜翌年4月だが、
今年は7月頃から感染例が出始めた
そのため、例年の感覚で行動していると予防のタイミングを逃す恐れがある。
専門家は「今年は早めの対策を」と呼びかけている。

保護者は、各病院の公式アプリやWeChat公式アカウント
小児科や児童保健科への電話で予約できるほか、
支付宝の「RSV防護一站通」からも予防接種予約が可能である。


呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の症状と感染経路

RSVは一本鎖RNAウイルスで、気管支炎や肺炎を引き起こす。
主な症状は、発熱・鼻水・咳・頭痛・倦怠感・中耳炎など。
感染は、飛沫患者の分泌物との接触汚染された手や物品を通じて拡大する。
潜伏期間は**2〜8日(通常4〜6日)**とされる。


感染予防のためにできること

専門家は次のような予防策を推奨している。

  • 咳やくしゃみなどの症状がある場合はマスクを着用し、人混みを避ける。
  • 石けんと流水で20秒以上手洗いする。
  • 食器や玩具を洗浄・消毒する。
  • 室内を換気し、空気を循環させる。
  • ワクチンまたは予防抗体注射を早めに接種する。

医療現場の逼迫と保護者の不安

SNS上では「子どもが感染して入院した」「家族全員がRSVに感染した」との投稿が相次ぐ。
小児科医は長時間勤務を余儀なくされ、医療現場には疲労が広がっている。
それでも医師らは「慌てず、症状が出たら早めに受診を」と呼びかけ、
市民の冷静な対応を求めている。

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