李強首相、16年ぶりに北朝鮮訪問へ 朝鮮労働党創建80周年式典に出席

中朝関係の節目に16年ぶりの首相級訪問

 中国の李強首相が10月9日から11日まで北朝鮮を公式訪問し、10日に行われる朝鮮労働党創建80周年記念式典に出席する。北朝鮮の金正恩総書記が9月に北京で開催された中国抗日戦争勝利80周年記念閲兵式に出席して以来、両国間の高官往来が続いている。
 中国外交部は7日に訪問を正式発表し、「中朝は伝統的な友好隣邦であり、両国関係を維持し、強化し、発展させることは中国党と政府の揺るぎない戦略方針である」と強調した。

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戦略的パートナーシップの深化を確認

 外交部報道官は「今年は朝鮮労働党創建80周年にあたる。今回の訪問を契機に、両党・両国の最高指導者の共通認識を指針として、戦略的意思疎通を強化し、交流と協力をさらに緊密にする」と述べた。
 この発言は、中朝関係が単なる隣国関係ではなく、体制的同盟として強化されつつあることを示唆している。中国は北朝鮮との関係を「戦略的安定の柱」と位置付け、米国や韓国、日本が進める安全保障協力に対抗する構えを見せている。

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金正恩、習近平・プーチンと並び外交地位を誇示

 金正恩氏は先月、北京で開かれた第二次世界大戦終結80周年の中国軍事パレードに出席し、習近平国家主席やプーチン大統領と並んで観閲席に立った。その姿は世界的に注目を集め、北朝鮮が中ロ両国との協力関係を通じて国際的影響力を高めようとしている姿勢を印象づけた。
 また、朝鮮中央通信によると、ロシアのメドベージェフ統一ロシア党党首率いる代表団も記念式典に出席する見通しだ。

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金正恩「中朝関係深化は不変」 プーチンに祝電

 金正恩氏は今週、プーチン大統領の誕生日に合わせて祝電を送り、「朝露(中ロ)同盟は二国間関係の発展を促すだけでなく、公正で多極的な世界秩序の構築に寄与する」と強調した。
 一方、韓国外務省によると、趙顕外相は同日、中国の王毅外相と電話会談を行い、「朝中関係の発展が朝鮮半島の非核化と平和に資することを期待する」と述べた。


16年ぶりの中国首相級訪朝 前回は温家宝氏

 香港メディア「香港01」によれば、中国の首相級指導者が北朝鮮を訪問するのは16年ぶり。前回は2009年10月、当時の温家宝首相が平壌を訪れ、金正日総書記(当時)と会談している。今回の訪問は、中国が北朝鮮との連携を再び高め、経済・安全保障両面での協力枠組みを再構築する狙いがあるとみられている。


ベトナム・ラオスも連携強化へ

 北朝鮮では、ベトナム共産党のスリン書記長も同式典に出席する予定で、約20年ぶりの訪朝となる。スリン氏は8月に韓国を訪問しており、アジアにおける南北両極外交の橋渡し役を担う形となる。
 また、ラオスのトーンルン・シースリット大統領も今週中に訪朝を予定しており、北朝鮮を中心とする社会主義諸国間の外交ネットワーク再構築が進む。


中朝関係の今後

 専門家は今回の李強首相の訪朝を、「中朝両国の関係が形式的同盟から実質的な安全保障協力へと転換する可能性を示す」と指摘する。朝鮮労働党創建80周年は、単なる祝賀行事ではなく、“反米・多極秩序”を象徴する政治的ショーケースとして機能するとの見方もある。


出典:
Deutsche Welle(ドイツの声)中央通信社(CNA)/ロイター通信

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