北京が英大使館の給水を停止か ロンドン「超大型大使館」承認を迫り圧力か

英メディア「中国が英大使館の給水を断ち圧力」

英メディアの報道によると、中国政府がロンドンでの「超大型大使館」の建設計画を英側に認めさせるため、北京の英国大使館への給水を意図的に停止して圧力をかけている。英国大使館の職員は老朽化した建物に閉じ込められ、たびたび数時間に及ぶ断水にも見舞われている。本館が使えないため、スカッシュコートを臨時の執務室として使用せざるを得ない状況だという。

関係者によると、英国外務省は2020年に1億ポンド(約190億円)の改修契約を承認していたが、中国側が工事開始を許可せず、改修計画は宙に浮いたままだという。
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中国の「超級大使館」計画とは

中国政府は2018年、ロンドン塔近くの旧王立造幣局跡地を購入し、現在ポートランド・プレースにある大使館を移転する計画を立てた。完成すれば欧州最大規模の中国大使館となる見込みだ。
しかし、地元住民や議員、香港民主派関係者らが「安全保障上の懸念」や「監視活動の拠点化」を理由に強く反対している。米ホワイトハウスも通信安全上のリスクを理由に英政府へ懸念を伝達したとされる

英国政府は当初、9月9日に最終判断を出す予定だったが、「さらなる検討が必要」として10月21日まで審査を延期した。


英国内で分かれる対応と政治的波紋

元保守党党首イアン・ダンカン・スミス氏は「中国の行為は衝撃的だ」と非難し、活動家らも「中方のいじめに屈するな」と議会に訴えている。
一方、英政府内では中国との経済関係を重視する立場も根強く、ロンドン新大使館計画に事実上の承認を与える可能性があるとの見方も浮上している。

また、2023年に中国へのスパイ行為で起訴された2人の英国人男性が、先月になって訴追を取り下げられた。労働党政権が中国を「敵国」と定義しなかったことが影響したとされ、首相キア・スターマー氏が外交・貿易を優先したのではないかとの批判も出ている。英政府は「起訴撤回は検察の独自判断だ」と関与を否定した。


両国関係の緊張が再燃

今回の給水停止疑惑は、英中関係の冷え込みを象徴する事案とみられる。英国内では、中国による投資や通信網、教育機関への影響を警戒する声が強まっている。

英国政府は引き続き中国との対話を模索する姿勢を崩していないが、今回の問題をめぐって国内政治の対立が深まり、欧州諸国や米国にも影響を及ぼす可能性がある。

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