青海・老虎溝で登山グループが遭難 137人救助、1人死亡 標高4000メートル超で雪と高山病直撃

気温急低下と雪、高山病で動けず

10月5日、中国青海省海北チベット族自治州門源県の老虎溝(ラオフーゴウ)地区で、甘粛省張掖市粛南県から入山した登山者の集団が悪天候により立ち往生した。標高4000メートルを超える祁連山の山中で、気温の急低下と降雪に見舞われた登山者らは体力を奪われ、動けなくなった。10月6日午前8時までに137人が救助されたが、1人が低体温症と高山病で死亡した。現場は山谷が深く、酸素濃度が平地の6割前後とされる過酷な環境だった。

無届登山が原因、装備不十分

《法治日報》によると、登山は愛好者が私的に企画したもので、行政当局への届出はなかった。SNS上で参加を募り、経験の浅い登山者も多く含まれていたという。救助隊によれば、多くの登山者が簡易テントと薄手の防寒具しか持たず、衛星通信機器を携行していなかった。地形は複雑で天候変化が激しく、連日の降雪により視界が遮られ、進退を誤った可能性が高い。門源県政府は5日夜、冷龍嶺区域での登山や探検を全面禁止すると発表し、無断入山による事故には法的責任を問うと警告した。

高地での遭難相次ぐ 当局が警鐘

青海省や甘粛省などで、登山やアウトドア活動中の遭難事故がしばしば発生。2021年には甘粛省のクロスカントリー大会で天候急変により21人が死亡した(甘粛のクロスカントリー大会で21人死亡 天候急変で)。また、チベット自治区では雪山登山で2人が死亡し、3人がけがを負った(チベットの雪山で2人死亡3人けが 予報と説得無視し登山)。砂漠でも遭難例が報告されており、新疆ではドライブ中の男女3人が死亡している(砂漠ドライブ中の男女3人死亡=1人不明―新疆)。中国の緊急管理部門は「登山やキャンプを計画する際は必ず目的地に報告し、気象情報を確認し、防寒装備と通信機器を準備すること」を呼びかけた。

安全軽視の「冒険登山」に警告

専門家は、SNSによる無届登山や「秘境」志向の冒険行為が事故を招いていると指摘する。祁連山のような高地は天候が急変し、救助が遅れると命に関わる。国慶節の連休を迎える中国各地では、今回の老虎溝の遭難を契機に、登山計画の管理徹底と安全意識の再確認が求められている。

出典

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