
急拡大するチクングニア熱、江門市が全体の8割を占める
中国・広東省でチクングニア熱(基孔肯雅熱)の感染が急速に拡大している。広東省疾病予防管理局の最新報告によると、9月28日から10月4日までの1週間で新たに3181人の地元感染が確認された。重症例や死亡例は報告されていないものの、感染者の約8割が江門市に集中している。
特に江門市では、9月初旬に26件だった感染が、翌週には2238件、さらに9月21〜27日の週には2927件へと急増。わずか3週間で感染者が100倍以上に膨らむという異例のスピードで流行が拡大した。江門の現地対応を詳しく伝えた関連記事はこちら→
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省当局が緊急対応を発動、封じ込めへ総力戦
こうした事態を受けて、広東省政府は突発公共衛生事態のⅢ級応急対応を発動した。江門市委員会は、蚊の駆除を「最重要の政治任務」と位置づけ、3〜4日以内に成蚊や卵を徹底的に除去するよう命令した。
さらに、住宅地、公園、下水道などで薬剤散布を実施し、全市を挙げた封じ込め作戦が展開されている。形式的な対応を取る部署には責任追及も行う方針が示され、当局の危機感がにじむ。
一方で、広東省疾病予防管理センターの康敏所長は「感染の上昇傾向は初歩的に抑制されつつあるが、依然として高水準で変動している」と警鐘を鳴らした。国慶節の大型連休中は人の移動や屋外活動が増えるため、感染拡大リスクは引き続き高いとみられている。
市民に個人防護を呼びかけ 症状が出たら早期受診を
当局は、感染の封じ込めには市民の協力が欠かせないとして、個人防護の徹底を呼びかけている。屋外では明るい色の長袖・長ズボンを着用し、露出した皮膚には虫よけスプレーを使用することが推奨されている。また、発熱、関節痛、発疹などの症状が出た場合には、速やかに医療機関を受診し、診断が確定するまで外出を控えるよう求められている。
さらに、媒介蚊のネッタイシマカやヒトスジシマカは清潔な小規模水域で繁殖するため、容器や排水溝の除水を徹底することが重要だとされている。
「1130防蚊・駆蚊行動」を全省で展開
その一方で、省当局は「1130防蚊・駆蚊行動」を全省的に展開している。この取り組みでは、
- 出勤・退勤前後に 1分間の除水
- 週1回の大掃除
- 毎日3分間の発生源点検
を実施するよう市民に呼びかけている。これにより、「無蚊環境」を構築し、地域全体で防疫体制を強化する狙いだ。
江門市では政府と住民が一体となって駆除活動を進めており、愛国衛生運動の一環として防蚊作業が広がっている。ドローンを使った繁殖源調査や、幼虫を捕食する魚の導入、さらには遺伝子改変蚊の実験など、新しい技術を活用した取り組みも始まっている。
仏山市では収束傾向、症状の長期化が課題に
今夏には広東省仏山市でも感染が拡大し、累計約9000人に達したが、8月末に緊急対応が終了した。市当局は「市−区−町村」の四層体制で日常的な防疫を継続している。
👉 広東仏山、チクングニア熱の緊急対応終了を宣言
ただし、専門家によると、チクングニア熱はデング熱よりも関節痛や倦怠感が長期化しやすいことが分かっており、数週間から数カ月にわたり症状が続くケースもある。
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感染拡大は湖北など全国に波及
広東省にとどまらず、感染は湖北省など十数省に波及している。特に湖北省では、市民向けに無料の検査・相談拠点が設けられ、発熱や発疹のある市民に早期受診を呼びかけている。全国的にも監視体制が強化されており、広東省の防疫対応が全国の感染対策のモデルケースとみなされている。
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