甘粛省定西でM5.6地震 11人負傷、住宅3500棟以上倒損壊 蘭州や西安でも揺れ

2025年9月27日午前5時49分、甘粛省定西市隴西県でマグニチュード5.6の浅い地震が発生した。震源の深さは10キロで、天水市中心部から約148キロの地点。中国地震台網の発表によると、この40分間にM5.6を含む4回の地震(M2.8、M4.5、M4.3)が相次いだ。

この地震の揺れは蘭州、西安、天水など広範囲で観測され、多くの住民が早朝から避難を余儀なくされた。


被害の全体像と数字の違い

定西市抗震指揮部によると、隴西県と漳県を中心に30郷鎮が被災した。住宅は3,505棟〜4,328棟が損壊し、少なくとも17棟が倒壊した。負傷者は8人〜11人でいずれも軽傷。午後には5人が退院している。避難者は7,812人に達し、道路や交通施設27カ所が損壊した

隴西県の高層住宅21階に住む董さんは「ベッドごと強く揺さぶられて目が覚めた」と証言する。M3.8の余震時には多くの住民とともに屋外に避難した。蘭州在住の段さんは、隴西県樺林村の棉柳灘に住む家族から「土造り住宅が多数倒壊し、壁に亀裂が入った」との連絡を受けたという。

中国地震局は直ちに緊急対応レベル3を発動。甘粛省消防救援総隊は定西・蘭州・天水から280人の隊員と42台の消防車、約2000点の装備を集結させた。現地では負傷者の搬送とともに道路・電力・通信など基盤の点検が行われている。


地震の背景と過去の被害

隴西は黄土丘陵地帯が広がり、土造り住宅が多く耐震性が低い。中国地質大学の王墩教授は「中規模地震でも被害が拡大しやすい」と指摘する。過去にも同省では大きな被害が出ている。例えば近年の地震では死者148人に達し、李強首相が現地を視察したことが報じられた(甘粛地震の死者148人に=李強首相が現地視察)。さらに救助活動が終了した時点で、死者134人、負傷者980人が確認された(甘粛地震の死者134人、けが980人=甘粛の救助活動終了)。

中国地震台網の統計によれば、震央から半径200キロ以内では過去5年間に規模3以上の地震が30回発生しており、2023年12月には臨夏州積石山県でM6.2の地震も起きている。


交通への影響と今後の課題

今回の地震で徐蘭高鉄、蘭渝線、隴海線の3本の列車が一時停止し、徐蘭高鉄は速度を時速40〜60キロに制限して運行を続けた。今後は余震への警戒とともに、住宅再建やインフラ復旧が課題となる。特に農村部では耐震性の低い住宅の改善が急務とされる。一因となった。今後は余震への備えとともに、耐震性の低い住宅環境を改善する長期的な防災対策が重要になる。

出典

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