ポーランド国境閉鎖で中欧班列が停止
ロシア無人機のポーランド領空侵入を受け、ポーランド政府は9月12日からベラルーシとの国境を全面閉鎖した。中国から欧州へ向かう国際コンテナ列車「中欧班列」は運行停止に追い込まれ、閉鎖は11日間続いたが、25日未明に再開される見通しとなった【出典: 中央社】。
約300本の列車が滞留、1万コンテナ超に影響
閉鎖の影響で、電子機器や自動車部品、繊維原料を積んだ約300本の列車が足止めされ、1万コンテナ超が滞留したとみられる。四川省成都の物流企業は欧州向け輸送を停止し、浙江省義烏では輸出業者が海運に切り替えた。しかし海運は輸送期間が約40日延び、季節商品の販売に打撃となる恐れがある。航空輸送なら納期を守れるが、高コストで利益を圧迫する。
義烏の業界団体は限定的な影響と説明
義烏市クリスマス業界協会によれば、今年は発注や納品を前倒ししたため、クリスマス関連商品の影響は限定的だという。ただし、越境ECを利用する中小企業には打撃が大きいとみられる。
マワシェヴィチェの過負荷と代替ルートの課題
中欧班列は中国の「一帯一路」構想の中核事業で、中国本土から中央アジア、ロシア、ベラルーシを経由して欧州26か国220都市以上に貨物を運ぶ。欧州鉄道貨物協会によると、85~90%の列車がポーランドを経由し、同国マワシェヴィチェは事実上の東側玄関口となっている。
この貨物ハブ駅の年間処理能力は56万TEUに過ぎないが、2024年には157万TEUを扱い、慢性的な過負荷に陥っていた。上海の貨物代理業者は「2014年の運行開始以来、マワシェヴィチェが閉鎖されたのは初めてだ」と述べる。代替としてカスピ海経由の「中間回廊」やロシア北方ルートが挙がるが、貨物流量の不均衡や接続能力不足で効率が低く、コストも上昇する。結局、マワシェヴィチェ経由が依然として最重要の通路であることが浮き彫りになった。
ポーランドとベラルーシの政治的背景
ポーランドは国境閉鎖の理由を「国民の安全確保」と説明した。背景には、ロシアとベラルーシの合同軍事演習「西方-2025」や無人機の越境事件がある。演習終了後も閉鎖は続いたが、トゥスク首相は25日からの再開を発表し、必要があれば再び閉鎖すると警告した。
一方、ベラルーシのルカシェンコ大統領は中国高官との会談で「ポーランドの措置は中国に不友好的な政治行為だ」と非難しつつ、「中国は容易に対応できる」と強調した。
関連情報と国際情勢
今回の事態は、一帯一路を通じた中国・欧州間の物流に深刻な影響を及ぼした。さらに【ウクライナ情勢】や【ロシア関連の軍事動向】も背景にあり、地域安全保障と貿易ルートの不安定化が改めて浮き彫りとなっている。