北京香山フォーラム開幕 米国は代表を格下げ 中ロ・北朝鮮との連帯を誇示

米国の代表派遣は格下げ

北京で開催された第12回香山フォーラム(9月17~19日)に、米国は駐中国大使館の国防武官らを派遣した。今年の米国代表は、国防武官トゥアン・グエン、空軍武官カート・デニス・ファイフ、陸軍副武官オスカー・アラビンダ・ギルロイ、政治部のアン・シャーマン職員にとどまった。

昨年は中国・台湾・モンゴルを担当する国防総省副次官補マイケル・チェイスが、2023年は副長官室で中国担当上級ディレクターのザンシー・カラスが団長として出席しており、今年は明らかに格下げだ。復旦大学の呉心伯院長は「米国は度量が狭く、他国にも高位代表を派遣させないよう妨害している」と批判した。


香山フォーラムとシャングリラ対話の対比

香山フォーラムは、中国がシンガポールで毎年開かれる「シャングリラ対話」に対抗する場と位置づけられている。西側諸国は依然としてシャングリラ対話を重視しており、香山フォーラムへの派遣レベルは低めだ。

米ランド研究所のレイモンド・クオ氏は「米国はシャングリラ対話を重視し、中国は香山フォーラムを重視する。派遣人員の格が各国の選択を反映している」と分析した。中国は独自の安全保障枠組みを築き、各国を取り込もうとしている。

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中国の狙いと習近平の戦略

今回のテーマは「国際秩序を共に守り、平和と発展を共に促す」。中国は上海協力機構(SCO)首脳会議や抗日戦争勝利記念の閲兵式とも連動させ、プーチン露大統領、モディ印首相、金正恩総書記らと連携を強めている。

米太平洋国際政策評議会のエリザベス・ラルス研究員は「習近平国家主席はロシアや北朝鮮、さらにはイランとの連帯を強調し、米国に対抗する統一戦線を演出する」とみる。


米中防衛対話とその裏側

9日にはヘグセス米国防長官と董軍中国国防相が初のビデオ会談を行った。米国は「衝突や体制転換を望まない」としつつ、アジア太平洋の重要利益を守る姿勢を強調。董氏は「台湾独立を助長する行為や外部干渉は失敗に終わる」と警告した。

呉心伯氏は「米国は不本意でも中国と接触せざるを得ない」と指摘。前国防次官補デービッド・シャンダー氏も「2020年に合意された防務政策体制を再始動すべきだ」と述べた。


南シナ海と地域緊張の拡大

南シナ海では中国海警がフィリピン公船に放水し、スカボロー礁を巡る対立が激化。中国の新型空母「福建」が台湾海峡を通過し、南シナ海へ向かったことも注目を集めた。

同時期、米国と日本は大規模演習「堅毅の竜」を実施し、中国に射程が届く中距離ミサイル「タイフォン」を初投入。中国は撤去を要求し、ロシアも緊張を高めると批判した。

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展望と課題

香山フォーラムは表舞台での発信以上に、舞台裏のやり取りが重要だとされる。米中間の溝は深いが、軍事対話の継続は不可欠であり、地域の安全保障環境を左右する。中国が独自の枠組みを拡大するのか、それとも既存の国際秩序との接点を模索するのかが今後の焦点になる。

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