深セン日本人学校が九一八事変94周年で休校 映画「731」全国公開で、反日感情の高まりに懸念

深セン日本人学校、九一八事変94周年で休校

中国で「九一八事変」から94周年を迎えた18日、日本人学校が相次いで対応を強化した。深センの日本人学校は休校し、上海はオンライン授業に切り替え、北京は保安を増強。背景には、2024年9月18日に深センで発生した日本人児童刺殺事件がある。10歳の男児が登校途中に中国人男性に襲われ死亡した事件は「偶発的」とされたが、前年に蘇州で日本人母子が襲撃される事件があり、2年連続の日本人襲撃として衝撃を与えた。

この事件を受け、広州日本人学校は今年4月以降、児童参加型の不審者対応訓練や防災訓練を5回実施している。日本政府もスクールバスに警備員を配置するための予算を計上するなど、安全対策を強化してきた。

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九一八事変の歴史的意味と中国での位置づけ

1931年9月18日夜、日本関東軍は南満州鉄道の線路を自作自演で爆破し、中国軍の仕業と偽って瀋陽北大営を攻撃した。これが「九一八事変」であり、日本による大規模な侵華の始まりとされる。中国の2017年改訂版歴史教科書では「14年抗戦の始まり」と明記され、現在も強い記憶として刻まれている。

中国国防部は今年18日、公式SNSに「1931年、日本は九一八事変を仕掛け、中国人民に深刻な災難をもたらした」と投稿し、「歴史を忘れるな、警鐘を鳴らし続けよ」と呼びかけた。

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映画「731」公開で反日感情悪化の懸念

記念日に合わせ、旧日本軍の細菌戦部隊を題材にした映画「731」が中国本土全域と香港・マカオで全国公開された。前売り収入は1億元を突破し、上映初日は22万5000回以上の上映回数が設定された。ハルビンでの世界初上映に臨んだ趙林山監督は「大量の史料を参照し、歴史的責任を伝え、平和の力を結集したい」と語った。映画は今後、米国やカナダ、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなどでも上映される。

一方で日本大使館や総領事館は、映画公開が反日感情をさらに悪化させる可能性を警告。在中日本人に対し「外出時は群衆を避け、大声で話さず、日本人とわかる服装や持ち物を控える」よう呼びかけている。

👉 出典:聯合報星島日報


在中日本人社会に広がる不安

事件以降、一部の日系企業駐在員の家族は日本に帰国した。在中日本人の間では不安が募り、深セン在住の日本人は「家族を守るために、より一層慎重に行動せざるを得ない」と共同通信に語った。

敏感な日を迎えるたびに日本人社会の警戒は高まり、安全確保が大きな課題となっている。中国全土で高まる歴史認識と反日感情の中、日本人の暮らしと教育環境を守る取り組みは続いている。


まとめ

「九一八事変」94周年に合わせた中国各地の動きは、歴史の記憶と現在の社会情勢が密接に結びついていることを示している。日本人学校の休校措置や映画「731」の上映は、日本人社会の安全と歴史問題がいかに切実な課題であるかを浮き彫りにした。

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