雷雨ぜんそくが中国北部で集団発生 山西・河北の病院に数百人殺到、雷雨と花粉が引き起こす呼吸障害と予防策

雷雨後に患者が急増

中国北部で「雷雨ぜんそく」と呼ばれる症状が集団発生した。9月8日夜、山西省太原市では雷雨後に多くの住民が突然呼吸困難や咳を訴え、山西白求恩医院の救急科では数時間のうちに400人以上を受け入れた。患者は子どもや妊婦、中年層が多く、現場は大きな混乱に陥った。

河北省石家荘市でも同日午後10時ごろ雷雨が発生し、一部市民が同様の症状を示した。河北省児童医院や河北省人民医院、石家荘市第二医院などで呼吸器科や救急外来の患者数が急増した。


雷雨喘息とは何か

雷雨ぜんそくは雷雨時や直後に発生する急性の気管支喘息で、咳、息切れ、胸の圧迫感を伴う。通常の喘息に比べて重症化しやすく、発作が長引く場合もあり、生命に危険を及ぼすこともある。特徴的なのは、集団で同時に発症する点だ。

この現象は雷と花粉の「致命的結合」によって引き起こされる。雷雨前の急な気温低下や強風が花粉やカビの粒子を巻き上げ、雲中の湿気や電荷で直径2〜3マイクロメートルの微粒子に砕かれる。これが呼吸器の奥まで入り込み、気管を刺激して痙攣を引き起こす。


季節と花粉の関係

春季の花粉は樹木由来で粒子が大きいが、夏末から秋初にかけてはヨモギやアカザ、カナムグラなど草類の花粉が多く、小粒で数も多いため拡散性が高く、強力なアレルゲンとなる。これにより、普段は鼻炎にとどまっていた人でも雷雨後に初めて喘息を発症する例が少なくない。

患者の6割以上はアレルギー性鼻炎の持病を持ち、半数以上は喘息歴がなかったとされる。特に子どもは気道が敏感で細く、高齢者は心肺に持病が多いため、症状が重症化しやすい。


発作時の対処法

発作が起きた場合は以下の対応が推奨される。

  • すぐに吸入薬を使用:ブデソニドなどの吸入型気管支拡張剤で気管の痙攣を抑える。
  • 改善がなければ直ちに受診:15〜30分で症状が治まらず、唇が紫色になったり会話困難が出ればすぐ病院へ。
  • 楽な姿勢をとる:座位や半座位で前かがみになり、呼吸をしやすくする。
  • 換気は控える:雷雨後も微細花粉は長時間漂うため、1〜2時間は窓を閉め、空気清浄機を活用する。

予防と注意喚起

当局は、夏の終わりから秋の初めはアレルギーが多発する時期であると警告。気象当局の花粉アレルギー指数を参考にし、雷雨の際は外出を控え、窓を閉めて備えることを呼びかけた。

雷雨ぜんそくは通常の喘息よりも重症化しやすく、時に死に至る危険もある。日常的な注意と迅速な対応が命を守る鍵となる。


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