雷雨と乱気流での緊急着陸
2025年9月8日夜、広東省珠海から山西省太原に向かっていた中国南方航空CZ3791便が、雷雨に伴う強い乱気流に遭遇した。機体は激しく揺れ、乗客が悲鳴を上げるなど一時騒然となり、乗務員も緊張感に包まれた。しかし、航空当局によるとけが人は確認されていない。同便は河北省石家荘に緊急着陸し、その後目的地に到着した。

フライトの詳細と遅延
CZ3791便は午後6時50分に珠海金湾空港を離陸し、午後9時53分に石家荘へ着陸した。約2時間43分の停留後、翌9日午前0時36分に再離陸し、午前1時12分に太原武宿空港へ到着した。結果的に5時間42分の遅延となった。
当時、太原市気象台は午後8時38分に雷雨強風の「青色警報」を発表しており、突風7級以上や雷電、局地的豪雨の可能性を警告していた。この気象条件は他の便にも影響し、太原行きの複数便が欠航、あるいは石家荘に着陸後翌日に運航するケースもあった。
乗客の証言とネットの反応
搭乗していた乗客は「気流で飛行機が大きく揺れ、多くの人が叫んでいた。石家荘に無事着陸したとき、多くの人が泣いていた」と証言している。SNSには機内での叫び声を収めた映像が投稿され、「同じ体験をした仲間は生死を共にしたような存在だ」との声も上がった。
また、別の乗客は「隣に座っていた女性が泣き続けていた」と語り、石家荘で降りて新幹線で太原に戻ったが補償はなかったと指摘した。こうした体験談は、航空会社の危機対応や補償制度の在り方についても議論を呼んでいる。
南方航空の対応
中国南方航空は9日朝、CZ3791便の緊急着陸が事実であることを認め、「その後は安全に目的地へ到達した」と説明した。航空当局と気象台は、乗客の安全を最優先にした判断であったと強調している。
関連事例と教訓
航空機は悪天候や乱気流に遭遇する可能性が常にあり、過去にも被害事例は報告されている。例えば、上海発北京行きの国際便では、晴天乱気流によって乗客と乗員2人がけがを負ったケースがある(関連記事はこちら)。今回の南方航空便と合わせて考えると、気象条件が航空安全に与えるリスクを改めて示している。
さらに、台湾や東アジア周辺では台風や前線による強風域がしばしば航空ダイヤに影響する(参考:自サイト内の関連記事「台湾周辺での台風被害と航空への影響」)。こうしたケースと照らし合わせれば、緊急着陸や遅延は乗客に大きな負担を与える一方、安全を確保するための不可避な判断であることが理解できる。
今後の課題
今回の事例は、航空会社にとって乗客の安全確保だけでなく、不安を和らげるための情報提供やアフターケアが重要であることを浮き彫りにした。今後も気象の急変に対応する柔軟な運航判断と、乗客への適切なサポート体制が求められる。
出典
星島頭條「南方航空遇雷暴九霄顛簸備降-乘客尖叫嚇到喊有片」
https://www.stheadline.com/realtime-china/3498142/