中国西北から黄淮にかけ強い降雨の見通し

中国中央気象台は、9月10日夜から12日にかけて西北地域南東部から黄河・淮河流域に強い降雨が発生すると予測している。四川東部、陝西中南部、山西南部、湖北、河南、山東中南部などで大雨から豪雨となり、山西南部や河南中北部、山東南部の一部では局地的大豪雨が見込まれる。累積降水量は30~60mm、山西南部や河南、山東南部では100~120mm、局地では140~180mmに達する恐れがある。さらに最大1時間で20~30mm、局地では40~60mmの短時間強雨も想定されており、雷を伴う突風も発生する可能性がある。
鉄砲水や地質災害、水害リスクが高まる
自然資源省・水利省・農業農村省と中国気象局による合同分析では、山西南部や河南西北部で鉄砲水の危険が高まり、山西南部、陝西南部と西部、河南西部、山東東部では地質災害のリスクが増している。河南中部の中小河川では警戒水位を超える可能性があり、河南中北部や山東西部では都市型豪雨による浸水の懸念が強い。
農田浸水や土石流被害の恐れ
陝西中南部、山西南部、河南大部、山東中南部では農田の浸水が懸念される。河南中北部や山東半島南部では被害がさらに深刻化する可能性があり、低地の農地では水がたまりやすく、作物の根が早期に枯れるほか、倒伏による収量減少や収穫への影響が避けられない。過去には広西で台風に伴う大雨により土石流が発生し、住宅の倒壊や死傷者が出た事例があり、今回も同様の危険が想定される(→【参考:広西玉林で土石流、3人死亡】)。
平年比2倍の降水量、豪雨がもたらす二次災害
河南、陝西南部、山西南部では9月以降、曇雨天が続いており、累積降水量は平年同期の1.8~2倍に達している。今回の豪雨は多雨地域と重なる部分が大きく、災害リスクを一段と高めている。専門家は鉄砲水や地質災害、河川の氾濫、都市型浸水といった二次災害が複合的に発生する恐れがあると警告している。
気象当局が住民に警戒を呼びかけ
気象当局は、住民に対して最新の警報や予報を確認するよう促している。降雨時には山間部や地盤が脆弱な地域、観光地やキャンプ地への立ち入りを避けることが推奨される。外出時は交通安全への注意が必要であり、冠水した道路では防災指示に従い無理な通行を避けることが求められる。
過去の水害・土石流被害から得られる教訓
過去には湖北や湖南などで大規模な水害が発生し、数十万人規模の住民が被災した事例がある(→【参考:湖南水害で約40万人が被災】)。こうした災害は、都市インフラの脆弱さや避難体制の遅れといった社会的要因が被害を拡大させることを示している。今回の豪雨についても自然要因だけでなく、人為的要素が重なることで被害が深刻化する恐れがあり、行政と住民が連携した備えが必要である。
外部リンク参考
◇出典
