中国海警船が南シナ海で自国軍艦と衝突 国内で報道規制

 中国の海警船が南シナ海・黄岩島(スカボロー礁)周辺海域でフィリピン巡視艇を追跡中、自国の海軍駆逐艦と衝突した。中国当局は事故を公表せず、国内メディアも報じていない。中国共産党系紙・環球時報の前編集長、胡錫進氏が「損害はフィリピンに負わせるべきだ」とする投稿をSNSに掲載したが、まもなく削除された。


 フィリピン沿岸警備隊によると、8月11日、中国海警局所属の3104号船は黄岩島周辺でフィリピン巡視艇「蘇魯安号」を高速追跡し、放水砲を発射した。この際、中国軍のミサイル駆逐艦「桂林号」(舷号164)が横から包囲しようとしたところ、「蘇魯安号」が回避行動をとり「桂林号」の左舷に衝突した。衝突音は大きく、海警船の船首は大きく損傷して航行不能になったという。


 中国海警局は同日、フィリピン側が複数の艦艇でスカボロー礁周辺の中国領海に侵入し、漁船への補給を名目に主権を侵害したと主張。自国の艦船は「法に基づき監視・追尾や阻止などの措置をとった」と説明し、衝突への言及はなかった。


 スカボロー礁は2012年の中比対立以降、両国間の摩擦の焦点となっている。中国海警はこれまでにも放水砲や体当たりでフィリピン船を退去させた例があり、双方に負傷者が出たこともある。
 事故映像はフィリピン側が公開し、中国国内でもSNSで拡散したが、中国当局は関連動画や議論を削除。検索やAI要約機能でも事故に関する情報は表示されなくなっている。

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