ドイツの国際公共放送ドイチェ・ベレ(DW)によると、広東省疾病対策当局の3日の発表によると、同省のチクングニア熱の感染者が累計で7000人を超えた。直近の1週間だけで2892人が確認され、うち2770人が同省仏山市に集中している。重症者と死者の報告はない。

米疾病対策センター(CDC)は1日、渡航注意情報をレベル2に引き上げ、中国への渡航を計画している旅行者に対策強化を勧告した。また、感染リスクのある地域を訪れる予定がある人々にはワクチン接種を推奨した。米国は既にボリビア、ケニア、マダガスカルなど7カ国にも同様の勧告を発している。
台湾メディアのNewtalk新聞によると、広東省の感染症対策の専門家である康敏氏は、広東省の流行は抑制されつつあり、新規感染者数も減少傾向にあると述べた。ただし、世界的には流行が続いており、住民に対し水たまりの除去や成虫の駆除、蚊に刺されないための対策を取るよう呼び掛けた。
感染の中心地である佛山市政府も「後遺症告知書」を公表。チクングニア熱がヤブ蚊が媒介する急性伝染病で特効薬はなく、感染すると39度以上の高熱、激しい関節痛、発疹などを引き起こすと説明。さらに一部の患者では慢性的な痛みや重い合併症を伴い、健康や生活の質に深刻な影響を与える可能性があると警告している。
チクングニア熱は蚊による媒介感染症で、人から人への直接感染はない。症状は発熱、嘔吐、疲労、筋肉痛などで、患者の7割に関節痛や関節炎が見られる。ほとんどは1週間前後で回復するが、一部で長期間の関節痛が残る。現在、特効薬はなく、蚊に刺されないことが最良の予防法とされる。
DWによれば、世界保健機関(WHO)は、すでに119カ国・地域でウイルスが流行しているとし、20年前の大規模感染の再現を防ぐよう警告した。当時はインド洋地域を起点に世界50万人近くが感染した。今回の流行ではインド洋周辺、東南アジア、アフリカ東部だけでなく、欧州にも波及している。
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