米紙ニューヨーク・タイムズは21日、中国共産党の習近平総書記が「チベット自治区成立60周年記念活動」に出席する名目でチベットを訪れたことについて論評し、中国指導部がダライ・ラマ死去後の後継問題を前に、統制強化への懸念を強く示した動きだと指摘した。台湾の中央通信社が伝えた。
同紙は「ダライ・ラマ後継問題が解決しない中、習近平氏がチベットに姿を見せた」と題する記事で、習氏が4年ぶりに自治区の首府ラサを訪問したことは、現地の仏教徒に対する厳格な統制を堅持する意思を鮮明にしたものだと分析した。標準中国語の使用を促し、かつて反乱のあった地域を北京の支配下に確実に置く狙いがあるとした。

習氏はチベットでの演説で「チベットの統治、安定、発展を進めるには、まず政治の安定、社会の安定、民族の団結、宗教の調和を保たなければならない」と強調し、チベット仏教を「社会主義社会に適応させる」必要を説いた。ただし、国外に亡命中の精神的指導者ダライ・ラマへの言及は避けた。
記事は、今回の訪問が90歳のダライ・ラマの死去後に必ず生じる後継争いをにらんだ布石だと論じた。ダライ・ラマは7月に「転生制度は存続する。他の誰も干渉できない」と明言したが、中国外務省は「ダライ・ラマの転生は中国の法律や規則、宗教儀軌と歴史的慣習に従い、中国国内で決定されるべきだ」と反論した。
◇参考情報
○習近平主席がチベット訪問 最高指導者として2回目
◇出典

紐約時報:習近平訪西藏似涉達賴喇嘛延續轉世 擬強化控制 | 兩岸 | 中央社 CNA
針對中共總書記習近平近日以出席「西藏自治區成立60週年慶祝活動」之名前往西藏,紐約時報今天發表文章分析,這次精心安排的視察,反映中國高層在達賴喇嘛一旦去世引發繼任之爭前,對加倍強化控制西藏的關切。