ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)によると、中国の王毅外相(中央政治局委員)は18日、インドのニューデリーに到着し、3日間の日程で公式訪問を開始した。インドのジャイシャンカル外相は王毅外相との会談後、経済・貿易、宗教巡礼、人的往来、国境河川のデータ共有、国境貿易、インフラ連結、双方向交流など幅広い分野で「実りある対話」を行ったと説明した。こうした協議は「安定的で協力的かつ未来志向の中印関係の構築」に資すると強調した。

王毅外相は滞在中、アジト・ドバル国家安全保障顧問と第24回国境問題特別代表会合を開くほか、ナレンドラ・モディ首相とも会談する。インド側は、主権をめぐる対立が続くヒマラヤ国境地帯での中国軍の駐留縮小を強く求めており、両国が小規模な合意に至る可能性がある。これは、モディ首相が今月末に予定する訪中に向けた環境整備とみられる。
今回の訪印は、モディ首相が7年ぶりに中国を訪れ、上海協力機構(SCO)首脳会議に出席する直前のタイミングにあたる。SCOにはロシアなども加盟している。
ジャイシャンカル外相は会談冒頭、「国境問題は極めて重要であり、中印関係の前進は国境地域の平和維持にかかっている」と述べた。さらに「両国関係は困難な時期を経たが、今後前進するには率直で建設的な態度が必要だ」と語り、2020年6月の衝突以来、西ヒマラヤ地域に集結している両軍の撤収の必要性を指摘した。
香港メディアの星島日報によると、中国外務省の毛寧報道官は、2024年12月に北京で開かれた第23回国境問題特別代表会合で、国境画定交渉や管理体制の整備、越境協力など幅広い分野で共通認識を得たと説明した。今回の会合でもこうした課題について協議を深め、国境地域の持続的な安定を維持する方針を示した。
両国関係は2020年夏、ガルワン渓谷での衝突で20人のインド兵と4人の中国兵が死亡して以降、急速に悪化した。ただ2024年10月、ロシア・カザンでのBRICS首脳会議の際に習近平国家主席とモディ首相が会談し、国境の軍事的緊張緩和に合意したことを契機に改善の兆しが出ている。
上海復旦大学国際問題研究院の林民旺教授は「インドの国境配備兵力は中国の8倍に達し、インドは絶対的な軍事優位を保とうとしている。しかし中国がその優位を認めることはなく、大幅な撤収合意は見込めない」と指摘した。そのうえで「中国は一定のポーズとして譲歩を示す可能性があり、直ちに拒絶するのではなく、さらなる検討や協議を行う姿勢を示すだろう」との見方を示した。
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