
中国メディアの澎湃新聞などによると、深セン市公安局(警察)は19日、「中国人民解放軍少将」やアカデミー・メンバーの「中国科学院院士」と偽り、教育界や講演活動で活動していたとして詐欺容疑で阮少平容疑者(63)を拘束したと発表した。
また、広州市公安局も19日、「国務院参事」や「抗米援朝(朝鮮戦争)の退役軍人」を詐称していたとして詐欺容疑で、余鵬翔容疑者(73)を拘束したと発表した。
深セン市公安局によれば、阮容疑者は「第一軍医大学元常務副校長」、「雷神山病院・抗疫副指揮官」などと称し、壇上で敬礼などを行う場面もあった。澎湃新聞の調べでは、中小学校の指導者として招かれたほか、企業の商業活動に参加し、教育現場やビジネスの場に入り込んでいた。 広東省東莞市の小学校は2023年、阮容疑者に指導を依頼。その際、阮容疑者を「北京阮順堂中医院院長」、「博士課程指導教官」、「水滸伝・阮小七第27代の末裔」などと紹介していた。
広州市公安局によれば、余容疑者は2024年12月、深セン市宝安区で行われたフォーラムで「国務院(中央政府)参事」として演説。同年7月には広州で行われた学術会議で「国務院前文化巡視員」、「国務院参事室公共政策研究室参事(正部在職)」などを名乗って登壇。今年3月にも「広東省伝統文化促進会永久名誉会長」として活動していた。権威ある肩書を利用し、社会的信頼を不当に得ようとした疑い。
澎湃新聞は8月5日、独占報道で阮少平容疑者の虚偽の経歴を暴き、その肩書がすべて偽造であることを確認。7日には、余鵬翔容疑者の「国務院参事」という肩書が偽造であることも、権威機関の調査で明らかにした。両者は長年にわたり、虚構の肩書を巧みに利用し、教育現場から公的イベントまで幅広く活動していた
ドイツ自動車部品大手のシェフラーは、中国天津市の生産拠点で電気自動車(EV)駆動部品2種の量産を始めた。投入したのは、世界で初めて量産に入った900V炭化ケイ素パワーモジュールと、「48V P2」方式の変速機一体型電動機である。EVの基幹部品で現地生産と技術革新を進め、急速に拡大するEV市場で競争力を高める。蓋世汽車網が伝えた。
900Vパワーモジュールは、複数のコンデンサーをひとつに組み込んだ一体型設計を採用し、小型化と高出力、低コストを同時に実現した。従来は別々に搭載していた電流安定用と昇圧用の部品をまとめることで、省スペース化と生産効率の向上を図った。最大出力電流は650アンペア以上、効率は99.5%に達し、EVの加速性能や航続距離の向上、発熱抑制によるエネルギー効率改善につながる。モジュール設計により、多様なレイアウトの電動駆動システムに柔軟に対応でき、各メーカーの車両設計に合わせたカスタマイズも可能になる。
炭化ケイ素(SiC)技術の採用で、従来のシリコン製パワーモジュールに比べて電力損失を抑えられる点も特徴だ。エネルギーの利用効率が高まり、同じバッテリー容量でも航続距離を延ばせる。シェフラーはこの技術を通じて「より強い動力と低い消費電力」を両立させるとしており、EVの普及加速に向けて重要な役割を担う。
もう一つの新製品である「48V P2」方式の変速機一体型電動機は、欧州市場のニーズに合わせて開発した。ドイツ本社と上海、天津の研究開発拠点が連携し、開発リソースを結集させた。エンジンと変速機の間にモーターを配置するP2方式は、燃費改善効果とコストのバランスが良いとされ、欧州メーカーを中心に採用が広がっている。
48Vの電圧は高電圧EVに比べ安全性が高く、車両設計の自由度も増す。制御装置にはプリント基板内蔵型チップ技術を導入し、基板面積を削減しながら発熱を抑えた。これにより冷却効率が改善し、システム全体の安定性が向上する。マイルドハイブリッド車など、段階的に電動化を進める市場向けに有効な技術と位置づける。
電動駆動事業を統括する責任者は「今回の2製品は電動化の異なる段階に応じたソリューションだ。製品群を拡充し、中国を含む世界市場に、性能とコストを両立させた選択肢を提供していく」と述べた。シェフラーは今後も中国市場を最重要拠点と位置づけ、現地開発とグローバル展開を両立させながら、EV分野での存在感を強める考えだ。
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