OPCW代表団が吉林省の遺棄化学兵器処理を視察 中国外務省、日本に廃棄加速要求

中国外務省の毛寧報道官は9月7日、化学兵器禁止機関(OPCW)の代表団が8月31日から9月5日まで中国を訪れ、吉林省にある旧日本軍の遺棄化学兵器の発掘、回収、廃棄作業を視察したと発表した。中国側は、日本が化学兵器禁止条約に基づく責任を果たし、中国国内に残る遺棄化学兵器を早期に全面廃棄するよう改めて要求した。

代表団にはOPCWの事務局長と執行理事会議長のほか、12カ国のOPCW常駐代表や外交官が参加した。一行は吉林省琿春市、敦化市、同市郊外の哈爾巴嶺を訪れ、化学兵器の発掘・回収現場と廃棄施設を確認した。今回の視察で確認した化学兵器の数量や種類、期間中の処理実績は公表されていない。

OPCW検証済みの廃棄は14万9378発

OPCWの2026年4月公表資料によると、日本が中国国内で遺棄したとして申告された化学兵器は、同年1月31日時点で17万4417発。このうち14万9378発について、日本側が廃棄を報告し、OPCW事務局が検証した。申告済み数量との差は2万5039発となる。

OPCWは2025年秋から2026年初めまでの会期間中、中国で7回の査察を実施した。2025年10月には中国、日本、OPCW事務局による3者協議が開かれ、処理状況と2026年の作業計画を協議した。ただし、地下などから新たに発見される兵器が今後追加申告される可能性があるため、申告済み数量は中国国内に存在する遺棄化学兵器の最終的な総数を意味しない。

哈爾巴嶺の申告済み兵器は2027年末が期限

OPCW執行理事会が2022年に承認した廃棄計画では、哈爾巴嶺とその周辺に埋設・保管され、2022年12月31日までにOPCWへ申告された化学兵器を2027年末までに廃棄することになっている。

同計画には、吉林省遼源市で廃棄作業を開始することや、敦化市などで発掘・回収を進めることも盛り込まれた。哈爾巴嶺は中国で確認された最大規模の遺棄化学兵器埋設地で、現在の処理事業の中心となっている。

化学兵器禁止条約は、遺棄した国に廃棄に必要な資金、技術、専門家、施設などの提供を求め、兵器が存在する国には適切な協力を義務付けている。中国と日本は1999年、中国国内の遺棄化学兵器を共同で処理するための覚書に署名した。

作業には化学剤漏出の危険も伴う。2026年5月26日には、吉林省で発掘・回収中の砲弾が破損し、日本人作業員2人の腕が化学剤に触れる事故が起きた。2人は中国で治療を受け、同月29日に帰国した。

毛報道官は今回の視察を受け、OPCWが条約に基づき、日本側に責任の履行と早期廃棄を促すことを支持すると表明した。一方、OPCWは今回の訪問に関する独自の声明や、新たな廃棄期限を現時点で公表していない。

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(2026年9月8日)
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