2026年版防衛白書が8月4日の閣議で了承・公表された。今回の白書は全598ページと過去最多の分量となり、中国とロシアの戦略的連携や台湾周辺情勢への警戒を一層強める内容となった。一方、中国政府は「中国脅威論」を意図的に煽るものだとして強く反発している。
防衛白書が中ロ戦略的連携への警戒を強化
政府は8月4日、令和8年版防衛白書を閣議了承した。白書は、国際社会が「戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入しつつある」との認識を示し、日本を取り巻く安全保障環境が一段と厳しさを増していると位置付けた。
中国の軍事動向については、従来と同様に「これまでにない最大の戦略的挑戦」と評価した。そのうえで、中国軍とロシア軍による爆撃機の共同飛行や艦艇の共同航行が頻度、規模ともに拡大しているとして、両国が「戦略的連携を強めている」と明記した。
さらに、中国海警局の船艇が台湾周辺で活動を活発化させ、「台湾封鎖」を想定したグレーゾーン作戦や統一を視野に入れた軍事演習が続いていることにも言及した。また、ロシアと北朝鮮の間で武器供給や軍事技術支援が急速に進展していることについても深刻な懸念を示した。
AI・ドローンを活用した「新しい戦い方」を新設
白書では、ウクライナ情勢を踏まえ、「新しい戦い方」に関する章を新たに独立して設けた。
人工知能(AI)による意思決定の迅速化や、多様な無人機(ドローン)など無人アセットの活用について詳述したほか、宇宙、サイバー、電磁波領域を含めた先端技術の活用にも触れた。
また、長期戦を見据えた弾薬などの備蓄確保の重要性を指摘するとともに、省人化・省力化に向けた取り組みを推進する方針を示している。
防衛生産基盤を「防衛力そのもの」と位置付け
白書は、防衛生産・技術基盤について「防衛力そのもの」と位置付け、その強化を重要課題として掲げた。
2026年4月の防衛装備移転三原則改定を受け、防衛装備品の輸出推進や、同盟国・同志国との技術協力を進める方針を示した。また、国内防衛産業の強化と、有事における協力体制の円滑化を図る考えも盛り込んだ。
さらに、安全保障への関心が比較的低い層にも理解を広げるため、アニメ調の表紙を採用したほか、概要版の小冊子や、防衛省として初めてAIアバターを活用した動画やショート動画を公開するなど、情報発信の手法も刷新した。
中国は「中国脅威論」として強く反発
白書公表を受け、中国側は直ちに反発した。
中国国防省の陳曦報道官は4日夜の談話で、白書は「中国の脅威」を排外的に煽っていると批判し、「賊が盗人猛々しく『泥棒だ』と叫ぶようなものだ」として、日本の防衛政策を再軍備化の口実にすぎないと非難した。
また、日本の防衛費増額や長射程攻撃能力の保有について「新型軍国主義」の台頭と位置付け、台湾問題は「越えてはならないレッドライン」であると強調した。
中国国営通信の新華社も、日本が中国の通常の国防建設や軍事活動を意図的に歪曲していると主張し、防衛力強化や安全保障関連政策への理解を広げるための世論形成を目的とした内容であるとの見方を示した。
出典
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