中国の若年失業率、再び20%接近の可能性 AI普及と1270万人の新卒流入で雇用圧力

 中国の若年失業率が再び20%近くまで上昇する可能性が浮上している。過去最多となる1270万人の大学卒業生が労働市場へ流入する一方、人工知能(AI)の普及で初級職の採用が減少しており、若年層を取り巻く雇用環境は一段と厳しさを増している。

中国若年失業率、6月は14.9%

 中国国家統計局が7月21日に発表した統計によると、6月の16~24歳(在学中の大学生を除く)の都市部調査失業率は14.9%だった。例年、若年失業率は6月に底を打った後、多くの卒業生が就職活動を始める夏場にかけて上昇する傾向がある。

 今回の14.9%は、政府が2023年に大学在学生を統計対象から除外して以降では、6月として最高の水準となった。統計方法の変更前には、若年失業率が一時20%を超えたこともある。

過去最多1270万人の卒業生が就職市場へ

 中国教育部によると、今年は前年比約4%増となる過去最多の1270万人の大学卒業生が労働市場へ参入する見通しだ。新卒者の大量流入により、就職競争は一段と激化するとみられる。

 オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のエコノミスト、邢兆鵬氏は、労働市場の供給過剰が深刻化しているとして、今後2カ月で若年失業率が20%近くまで上昇すると予測した。

 同氏は、景気循環による需要低迷に加え、構造的な要因も雇用環境を悪化させていると指摘。企業によるAI導入の加速で初級職の採用が減少し、若年層の就職難に拍車を掛けていると分析した。

AI導入拡大で初級職の採用減少

 AIの普及は中国の雇用構造にも大きな変化をもたらしている。シティグループは、AIの普及によって将来的に中国で約7000万人の雇用が代替される可能性があると試算した。

 また、HSBCは、中国企業のAI導入率はアジアで最も高く、米国も上回っていると分析している。

採用計画指数も9カ月ぶり低水準

 雇用悪化の兆候は若年層以外にも広がっている。中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)の雇用指数は2023年3月以降、縮小傾向が続いている。

 さらに、長江商学院が主に民間企業を対象に実施した調査では、6月の採用計画指数が9カ月ぶりの低水準に低下した。

 失業者向けの職業訓練や賃金補助に充てられる失業保険基金の支出は、2026年1~5月に881億元へ増加し、新型コロナウイルス禍だった2020年とほぼ同水準となった。

 一方、6月の都市部全体の調査失業率は5.0%と、この1年間で最低水準に並んだ。

 景気減速を受けて追加景気対策を求める声が強まるなか、中国国務院は7月21日の会議で「財政資金の効率的な活用を最大化する」と強調し、年間4.5~5.0%の経済成長目標の達成を目指す方針を示した。今月開催が見込まれる中国共産党政治局会議では、下半期の経済政策や追加の景気支援策が打ち出されるかが注目されている。

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